第8回学術総会 セミナー報告 地方会報告 分科会案内 地方会案内 入会案内
2005年12月1日                 日本医療マネジメント学会News Letter                 第22号(4)
地方会開催報告

第2回山形地方会

世話人:山形大学大学院医療政策学講座 清水 博

 7月30日(土)、第2回医療マネジメント学会山形地方会が山形大学医学部大講義室を会場に開催されました。朝からの夏の強い日差しと猛暑にも関わらず、第1回を上回る205人が参加し、熱気に溢れた地方会となりました。午前中は口演が行われ、「クリティカルパスの実際」と題して11題、「バリアンス分析の実際」1題など全16題の発表がありました。昼食を挟んで役員会が開催され、次期世話人に齋藤幹郎山形県立中央病院長が選出され、来年の7月に開催することが決まりました。午後は、藤本俊一郎香川労災病院脳神経外科部長による特別講演「クリティカルパス 最近の進歩」がありました。クリティカルパスからオーダリングシステムへの移行など先生の経験に裏付けされた実践的な御講演に、中には大変なショック(感動)を受けた人も多く、とても印象に残る特別講演でした。次に「これからの地域医療連携」と題してシンポジウムがありました。座長の清水博山形大学大学院教授からのイントロダクションの後、阿彦忠之村山保健所長の「山形県における地域医療の現状と課題」、大島眞理子早稲田大学客員研究員による「在宅医療・介護とIT化」、叶谷由佳山形大学教授による「シームレスな地域医療連携について」、さらに松原要一鶴岡市立荘内病院長による、自らの経験に基づいた「これからの地域医療連携への提言」のプレゼンテーションがあり、その後活発な質疑が行われました。特に、大島先生の在宅介護者から見た地域連携、IT機器の活用は、日ごろ福祉及び在宅の介護等に接することの少ない医療関係者には、インパクトの強いものでした。
アンケート調査では、今回の地方会は概ね好評だったようです。


第9回静岡県地方会

当番世話人:富士宮市立病院外科科長 鈴木憲次

 第9回静岡県地方会を、8月6日(土曜日)猛暑のなか富士宮市立病院で開催いたしました。リスクマネージメント、医療コスト、クリティカルパスに関する各施設の取り組みを合計14演題御発表頂き、活発な討論が行われました。また、グループディスカッションの形式で、化学療法、胃癌(胃切除)、経尿道的前立腺または膀胱腫瘍切除、肝動脈塞栓術の4つのクリティカルパスについて施設間における差異を検討し、クリティカルパスの標準化に向け討論いたしました。
 病院の会議室を会場にした比較的少人数の落ち着いた研究会を予想していたのですが、総数212名が参加する熱気あふれる地方会となりました。医療従事者におけるリスクマネージメント、医療経済に対する関心の高まりの現れでしょうか。今後とも多くの方が討論に参加され、より良い静岡県の医療が実践されることを期待します。
 次回は平成18年2月静岡県立静岡がんセンターにて開催予定です。

会場風景


第4回沖縄地方会学術集会

会長:大浜第一病院院長 石井和博
世話人:沖縄赤十字病院院長 高良英一

 医療の安全と質の確保」をテーマに第4回沖縄地方会学術集会がおもととよみの杜(豊見城市)で平成17年10月15日に開催されました。今回は13演題の発表があり、医療安全やクリティカルパスをはじめ、個人情報の取組みや医療廃棄物処理の現状など病院経営に深く関係する演題がありました。フロアからの質疑も多くあり、発表後に演者に直接質問をされるなど各医療機関で検討・問題とされている演題が多かったことを感じました。
 特別講演は医療安全における草分け的な存在の三宅祥三先生(武蔵野赤十字病院院長)による「医療安全の組織構築」が行われました。「職員の意識改革」と「安全に仕事が出来る職場環境の整備」がとても重要であることを強調され、患者にとっても医療従事者にとっても安全で安心な「人間中心の医療システム」を構築することを再認識する講演となりました。
 また、昨年度に続き、実際に活用されているクリティカルパスを隣接した会場で展示を行い、学会発表の休憩時間等に多職種による情報の交換に花が咲き、有意義な交流の場となりました。発表されたクリティカルパスは各医療機関で活用出来るように、各施設に配布いたしました。
      (文責:大浜第一病院 真名井敦)

会場風景


第5回栃木地方会

会長 国立病院機構栃木病院長 山崎 晋
学術集会会長 足利赤十字病院院長 福内靖男

 第5回栃木地方会は平成17年10月29日に国立病院機構栃木病院地域医療研修棟講堂及び視聴覚室にて開催されました。
シンポジュウムの基調講演で高橋 泰教授(国際医療福祉大学医療経営管理学科)は、「DPCが医療のマネジメントに及ぼす影響」と題して講演され、最近の情勢から推測するに、行政当局は、最終的に1000施設程度のDPC施行病院を設定する意向のようで、ある時期(X-Day)に急性期病院から募集するであろう。ここでDPCを見送るとその病院は、急性期病院から転換しないと存続できなくなるであろう、と述べられました。
聴衆からの質問に対し、X-Dayは平成20年であろうと予想していると答えられました。冨保和宏医長(済生会宇都宮病院診療情報管理室)は、医師であり診療情報管理士でもある観点から、管理士としては、「医師のDPC傷病名の混同・理解不足」があり医師監査の必要性を指摘、また医師の立場からは疾患のステージ・重症度の判定につき現場での適切な指針の必要性を述べました。薬真寺美佐子 副部長(自治医科大学病院看護部)は、看護師の立場から、DPC導入による看護業務の変化にはネガティブな面が多く、周辺業務の増加のため本来の「看護ケア」にかける時間が短縮し、看護の適切な本来業務を行うためには、DPCに伴う業務は今後「他職種」へ移行させる必要があることを指摘しました。また、患者でのアンケートでは、「病院から見放されたように感じる」という回答があったと報告し、注目されました。石田和之 管理士(宇都宮社会保険病院診療情報室)は、DPC導入直後の診療録503件の分析から、診療録入力状況は、「不備が無かった」のは16%に過ぎず、習熟には時間がかかり、研修の必要性を指摘しました。黒須義久 管理士(足利赤十字病院診療情報管理士)は、管理士の立場から、その役割は適切なDPCコード選択を管理するのみならず、その後の診療録の「量的管理」(必要な書類がすべて揃っているか)および「質的管理」(記載内容が適切か)が基本となり、「物の管理」ではなく、「情報の管理」という理解が必要であると述べました。
 クリティカルパス展示・解説のセッションには、9病院から計50のクリティカルパスが展示され、各所で活発な討論が持たれていました。 受付にて記帳をした人は135名でした。

会場風景


第6回茨城県地方会学術集会

学術集会長:総合病院取手協同病院院長 椎貝達夫

 つくば市竹園の国際会議場エポカルつくばを会場に11月5日、第6回医療マネジメント学会茨城県地方学術集会(会長:椎貝達夫取手協同病院長)が開催されました。 学会には、県内各地から医療・保健に取り組んでいる医師や看護師、検査技師など570人の関係者が参加、「情報開示をどう進めるか」をテーマに40の演題と59のクリティカルパス展示の合計99にのぼる研究事例発表が行われたほか、特別講演など3会場で繰り広げられ、医療の幅広い問題について話し合われました。
 学会に先立って行われた椎貝学会長あいさつでは「現在の医療は医師だけではなく看護師をはじめとする医療チームによって行われている。本学会は、医療におけるチームワークの質を高めることを目的としている」と述べました。
 研究事例発表では、取手協同病院の日野太郎氏が「特色あるホームページづくり」を取り上げ、同病院の患者数や平均在院日数、紹介率、疾患統計、5年生存率、剖検統計、学会発表、医学論文など医療水準をあらわす医療統計や、情報を情報公開するとともに、ネガティブとされる予期せぬ手術数や予期せぬ再入院などをあえて公開しています。 クリティカルパス展示が行われた多目的ホールでは、「クリティカルパスの目的は標準的な医療を安全かつ効率的に提供すること」「DPCには欠かせない取り組み」「ベンチマークで自院の状況を把握したい」などの意見が出されていました。
 「松阪中央総合病院の経営改善の取り組み」と題し、特別講演を行った幸治隆一病院長は「経営改善の院内対策は、医局のモチベーションアップが重要。経営戦略の共有化のため、医局員とは徹底的に話し合う。院外対策としては、医療連携の推進に力を入れ、病診連携室を充実し、三重県下で初めての地域医療支援病院の承認を得ている。現在、救急医療体制の充実に取り組んでいる」と語りました。

会場風景


第3回石川地方会

会長:山中温泉医療センター長 高橋一郎
当番世話人:能登総合病院外科部長 牛島 聡

 第3回医療マネジメント学会石川地方会が平成17年11月12日(土)能登総合病院の牛島 聡外科部長の担当で七尾サンライフプラザで開催されました。
 テーマは「医療の質、安全の維持改善を目ざして」であり約180人の参加者がありました。
 一般演題は10題で、大腸内視鏡のクリティカルパス、シェーグレン症候群検査入院のクリティカルパス、白内障のクリティカルパス、手術部のクリティカルパス、出生から1ヶ月検診までの新生児のクリティカルパス、前立腺生検術のクリティカルパスとビデオの併用による患者説明の効果、電子クリティカルパスへの取り組み、ISO 9001品質マネジメントシステム、ITC活動と院内感染、院内SPDシステムとコスト削減などについて活発な討論がありました。
 特別講演は2題で、南砺市民病院の杉本 末子副院長の「ITを活用した看護の質維持と安全医療」および福井総合病院の勝尾信一副院長の「アウトカム設定から始まるバリアンス分析−バリアンスは質向上の種−」 として学会参加者にとって示唆に富んだ講演でした。なお、翌日には特別企画で勝尾先生による「クリティカルパス実践セミナー」が開催され40名の受講者がありました。
 第4回地方会は平成18年11月12日(日)に小松市民病院外科部長 村上眞也先生を世話人として小松市民ホールで開催予定となりました。

会場風景