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2005年12月1日                 日本医療マネジメント学会News Letter                 第22号(3)
セミナー開催報告

第11回医療連携セミナー
−疾病別連携と連携クリティカルパス−

国立病院機構長野病院副院長 武藤正樹

 平成17年9月10日に国立国際医療センターにおいて第11回医療連携セミナーが開かれました。
 セミナーテーマは来年の医療法改正の「地域医療計画の見直し」の中でも、話題の地域連携クリティカルパスです。地域連携クリティカルパスとは「疾病別に疾病の発生から診断、治療、リハビリまでを、診療ガイドラインに沿って作成する一連の地域診療計画」のことです。
 さて、基調講演では国立保健医療科学院政策科学部の長谷川敏彦部長より、地域連携発展の三段階論が提示されました。長谷川部長によると地域連携は第一段階のかかりつけ医主導の連携から、第二段階の病院主導の連携、そして第三段階はシステム主導型の連携へと進化するという。また地域連携は地域性に応じてつぎの4つのパターンにわかれるという。大都市型連携、県庁所在地型連携、地方中核都市型連携、郡部型連携。また連携を行うための疾病群「疾病クラスター」という新しい考え方の提案がなされました。
 シンポジウムでは地域連携パスの意義とその作成方法等の総論について国立病院機構熊本医療センター野村一俊統括診療部長より発表がありました。野村部長によると地域連携パスの成功のポイントは@疾病選択、A病院間のネットワーク、B診療方針の統一、Cアウトカムの統一、Dオーバービュークリティカルパス、EIT化、F定期的な会合にあるという。
 そのほかシンポジウムでは、循環器疾患の連携パスについて竹田綜合病院総合連携本部の田城孝雄先生、がんの連携パスについて国立病院機構横浜医療センター外科の佐藤靖郎先生、生活習慣病におけるIT連携について千葉県立東金病院長の平井愛山先生より事例の提示がありました。


会場風景


「DPCとクリティカルパス」特別セミナー
−DPCと病院マネジメント−

国立病院機構長野病院副院長 武藤正樹

 平成17年10月8日に国立国際医療センターにおいて「DPCとクリティカルパス」特別セミナーが開かれました。
 セミナーの基調講演(1)では厚生労働省保健局の福田祐典企画官からDPCの現状と課題、基調講演(2)では健康保険諫早総合病院の君野孝二副院長より報告がありました。君野副院長の報告によると、平成16年には82のDPC導入病院の約40%の病院で100以上、50%の病院で50以上のクリティカルパスが使われています。また62のDPC試行的適用病院の約25%以上の病院では100以上、60%の病院では50以上のクリティカルパスが使用されているという。このようにDPC病院においてはクリティカルパスは、もはや必須のツールとなっています。
 事例報告では国立病院機構九州医療センターの診療情報管理室の阿南誠室長よりDPCのコーデイング入力の精度と診療情報管理士の役割についての事例報告がありました。また国立病院機構長野病院の武藤よりDPC導入によって増加しているジェネリック医薬品の実態と、それに連動してすこしづつ進み始めた一般名処方や代替調剤について報告しました。
 また慶応義塾大学医学部医療政策・管理学教室の池田俊也講師によりDPCによってジェネリック医薬品へのシフト、検査・画像診断の外来シフトなどにより包括部分の資源消費量の減少が認められたことが報告されました。東京女子医科大学病院の地域連携室の下村裕見子さんよりDPCと医療連携の関係について、DPCでラベルした患者情報を連携のマーケット情報として用いることの必要性が提唱されました。


会場風景


第6回リスクマネジメントセミナー
−医療安全の課題とブレークスルー−

国立病院機構長野病院副院長 武藤正樹

 平成17年11月12日に、医療安全週間にあわせて国立国際医療センターで第6回リスクマネジメントセミナーが開催されました。
 基調講演(1)は厚生労働省医政局総務課の医療安全推進室の田原克志室長より医療安全の最近の動向について報告がありました。基調講演(2)では国立保健医療科学院の長谷川敏彦政策科学部長より、医療安全の最新トレンドが報告されました。長谷川部長は医療安全を5つの概念、7つの方法、4つの核、3つの段階にまとめ、それぞれについて概説しました。また長谷川部長は「医療安全は医療の質問題に転換すべき」、また「病院へのリスクマネジメントから患者へのセイフティマネジメントの視点へと転換すべき」ことを強調しました。
 事例報告では滋賀医科大学医学部付属病院統括リスクマネージャーの餅田敬司先生より「減らない転倒転落事故」、「インシデント報告のフィードバック」、「輸液ポンプ・シリンジポンプの院内統一」、「リスクマネージャーに権限を」などの現場のリスクマネージャーとしての切実な提案がなされました。それに引き続いて日本医科大学付属病院の医療安全管理部の長谷川幸子副部長の報告や、医療科学研究所の小林美亜研究員より現在全国でおこなわれている患者有害事象把握のためのカルテレビューの報告がありました。そして最後に、現在注目されている患者参加型医療安全について、NPO法人ヘルスケア・リレーションズの和田ちひろ理事長より、実際に患者が体験したヒヤリハット事例の発表をまじえた報告がありました。


会場風景
書籍のご案内
「研修医のためのクリティカルパス活用ガイド」
編集:医療マネジメント学会 B5判/160頁/2004年10月刊/定価2,100円(税込)
 この度、医療マネジメント学会編集による、書籍『研修医のためのクリティカルパス活用ガイド』(出版社:じほう:定価2100円)が刊行されました。クリティカルパスは、医療の質と効率を向上させる最適の臨床マネジメントツールとして、多くの医療施設で活用されています。また、クリティカルパスによる医療では、医師、看護師をはじめとする関連する職種のスタッフが、情報を共有して医療にあたるため、チーム医療の向上にも大変役に立っています。一方、クリティカルパスの使用にあたっては、そこに盛り込まれた医療内容を十分理解し、使用規定に従わなければなりません。
 2004年4月からスタートした医師の臨床研修制度では、その到達目標の経験目標として診療ガイドラインやクリティカルパスを理解し活用出来るとされています。 本書は、臨床研修を開始した研修医が、クリティカルパスの全容を理解し、実際に活用出来るように配慮し企画されました。研修医はもとより研修指導医あるいはクリティカルパスに、これから取り組もうとする各種医療従事者にも十分に役に立つ内容になっています。ご一読をお勧め致します。
  (国立病院機構熊本医療センター統括診療部長 野村一俊)
問い合せ・申込先:
 株式会社じほう
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