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2005年8月1日                 医療マネジメント学会News Letter                 第21号(5)
長野地方会主催「連携パスセミナー」
国立病院機構長野病院副院長 武藤正樹

 平成17年3月5日に長野市で、医療マネジメント学会長野地方会主催の連携パスセミナーが開かれました。当日は県内より医師、看護師や地域医療連携室の関係者が50名ほど参加して、熱心な討議がなされました。
 クリティカルパスはこれまでおもに病院内で入院患者用に作成されてきました。ところが最近では、このクリティカルパスが病院の壁をとびこえて、病院と病院の間で作成され、使用されるようになってきました。こうしたクリティカルパスを連携パスとよびます。とくに連携パスは整形外科疾患や脳卒中など疾患のように、急性期病院とリハビリ病院との間で連携医療が必要な疾患に作られることが多いです。
 セミナーでは連携パス先進地の熊本市の国立病院機構熊本医療センターの野村一俊統括診療部長をお招きして、熊本市における連携パスの実情を講演していただきました。熊本市では急性期病院とリハビリ病院などの市内の20の病院が集まって協議した上で、連携パスを作成し、使用しています。 現在使用されている連携パスは人工骨頭置換術、大腿骨頸部骨折術後、胃がん手術、大腸がん手術など十数種類にものぼっています。参加施設では、専門医やコメディカルが月1回集まり、共通の診療ゴールや診療方針について協議してクリティカルパス作りをおこなっています。
 野村部長によると、連携パス作成のコツはまず医師の間で、それぞれ病院によって異なる診療方針の刷りあわせをおこなうことが大事で、この点では院内で作るクリティカルパスと何らかわりはないといいます。また、連携パス作成のそのほかのコツとしては、@作成クリティカルパスの疾病選択、A定期的な会合、B診療ゴールや診療方針の統一、Cオーバービューパス(おおまかな診療過程を提示)の作成、DクリティカルパスのIT化(ホームページ上で複数の施設から書き込みができるような工夫)があるとのことです。
 こうした連携パスの成果としては、病院の壁をこえた治療方針やゴールの標準化、さらに患者にも転院後の治療過程がわかりやすいなど患者の満足の向上、そして平均在院日数が急性期病院でもリハビリ病院でも減少して、より効率的な病床運用がはかれて、施設間の待機時間も減って、スムーズな転院が可能になる効果があるといいます。 たしかにクリティカルパスは病院の平均在院日数の短縮に貢献しましたが、連携パスも同様に地域全体の平均在院日数の短縮と連携の円滑化を実現するよいツールになるのでしょう。
 このほか連携パスセミナーでは、国立病院機構長野病院の武藤より病病連携や病診連携が病院や診療所の経営キーワードになっていること、また連携パスが21世紀医療のトレンドになる可能性があること、さらに長野病院における内視鏡的胃ろう術(PEG)クリティカルパスの連携パスの試みなどが紹介されました。また同セミナーではリハビリテーションセンター鹿教湯病院の小林俊夫院長によるシンポジウムや長野病院の中土幸男診療部長による骨粗しょう症の話題提供がありました。


第5回大分地方会
会長:国立病院機構西別府病院小児科部長 後藤一也

 第5回大分地方会は3月5日(土)に別府ビーコンプラザで開催されました。過去4回は半日でしたが、今回初めて終日の大会となりました。
「地域に貢献できる病院の条件とは」を学会テーマに掲げましたが、時間延長はこのテーマに関して当院が抱える課題が多いことの表れかも知れません。参加者は予想を大きく上回り600人を越えました。 学会はシンポジウム「病院機能評価−施設からの報告と受審に向けて−」で始まり、受審施設からよそ行きではない病棟設備、機器の改善紹介や苦労話を紹介され機能評価がより身近なものとなりました。特別講演は内田弁護士の「医療訴訟の予防と対策」で、事例をまじえながら原則とトピックスを解説して頂きました。セミナー「模擬患者による医療コミュニケーション訓練」では活動状況の後、マナー研修会も実演され、模擬患者の必要性が理解されたと思います。一般演題は11題でしたが、医師・看護師・事務部門の実際的取り組みが紹介された興味深い内容でした。


会場風景


第4回香川地方会
世話人:高松市民病院副院長 小島章裕

 第4回の香川地方会は、平成17年3月12日午後1時30分より、サンポートホール高松で約140名の参加をいただき盛大に開催されました。発表演題数も20演題が集まり、クリティカルパスを中心に医療安全や褥瘡までの広い範囲にわたっての発表がありました。また、特別講演は、感染とセーフティマネージメントの内容で、ヘルスケアリソース研究所所長の土井英史先生にご講演いただきました。外は冷たい風が吹き寒い一日でしたが、活発な討議がなされ、実りある学会であったと考えております。  本地方会も今回で4回になりますが、演題も年々増加しており、今後ますます発展するものと思われます。また、第5回医療マネジメント学会香川地方会は、坂出市立病院の田岡輝久先生のお世話で開催されることになりました。


会場風景