第9回医療連携セミナー報告
地域医療支援病院と外来分離―現状と課題―
国立長野病院副院長 武藤正樹
第9回医療連携セミナーが2003年9月13日に東京都新宿の国立国際医療センターで開催されました。今回のセミナーのテーマは「地域医療支援病院と外来分離」でした。地域医療連携の要ともいえる地域医療支援病院は最近ちょっとしたブームを呼んでいます。また外来分離も「門前診療所」として中医協の議論の俎上にもあがっていることもあって、会場は200名近くの参加者で埋め尽くされました。
基調講演として、国立保健医療科学院政策科学部の長谷川敏彦部長が「地域中核都市における高度急性期病院間の競合と連携」と題して、人口50万のモデル都市を例にあげて病院間の競合と連携のシミュレーションをおこないました。この中で長谷川部長は人口10万あたりの年間入院回数はおよそ1万回で、心疾患で 660回、脳卒中で550回、がんで300回、喘息で284回、肝臓疾患で180回、大腿骨頚部骨折で67回、開頭術で60回であると述べ、このうち救急で病診連携が必要な疾患は心疾患、肝疾患、喘息などであり、病院に技術集約すべき疾患としてはがん、開頭、開心術であり、長期で病診連携を必要とする疾患が脳卒中などであるとしました。今後、このような疾病単位で診療圏の需要分析を行ったり、また供給についても医療連携を主軸とした対応が求めらる時代と考えられました。
事例報告では、民間病院としては初の地域医療支援病院を取得した特定医療法人鴻仁会岡山中央病院の外来分離のケースを蓮岡英明副理事長が発表しました。同氏によれば外来分離を行った結果、本院は急性期特定入院加算を取得することができたということです。つぎに公立藤岡総合病院の外来分離について田中壮佶外来センター長が発表しました。同外来センターは本院から1.5kmはなれた場所に立地して、高機能外来、地域医療センター、健康管理センターを3本柱として運営されている現状が報告されました。亀田クリニックにおける外来看護の現状を同師長の丸山陽子氏が発表しました。看護師が主導する専門外来である糖尿病支援外来、禁煙支援外来、ストーマ外来、母乳外来などの運営実態が報告されました。
聖路加国際病院の渡辺明良人事マネージャーより病院に近接して立地するドクター・オフィス型の外来分離のあり方について国内外の事例が報告されました。ドクター・オフィス型の外来は今後、国内でも検討すべき課題と考えられます。最後に、病院建築からみた病院外来分離について国立保健医療科学院施設科学部の筧淳夫部長が発表をおこないました。筧部長によると新しい分離外来のコンセプトは機能別に外来入り口が異なる設計になるだろう。また単に診療機能ばかりでなく、コンビニやコーヒーショップや薬局を含んだ複合施設になるだろうとのことです。
会場風景
第12回クリティカルパス実践セミナーin福岡報告
−クリティカルパスの概念・必要性の理解と 作成活用能力の向上−
国立病院九州医療センター泌尿器科医長 井口厚司
9月20、21日、第12回クリティカルパス実践セミナーin福岡は福岡市の国立病院九州医療センターでお世話をさせていただきました。福岡県は当院の前副院長、吉田晃治先生が医療マネジメント学会福岡地方会を立ち上げ、来年1月には第4回目の地方会を筑後市立病院主催(吉田正副院長)で行うようになっており、クリティカルパスへの取り組みもますます活発になってきています。
その意味で今回のセミナーにも福岡県内からの参加が中心であろうと思っていたのですが、実際に開催してみますと県内だけでなく、九州各県をはじめ遠くは東京、ソウルから計75名の参加者があり、クリティカルパスの国際的な広がりに驚きました。
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フリーディスカッション
1日目のレクチャー、2日目のワークショップ形式によるクリティカルパスの作成実習に参加者の皆様はたいへん熱心に取り組んでいました。協力という形で参加していた当院のスタッフにとっても非常に勉強になりました(感謝)。学会関係者および当院の多くの方々の御協力により、バリアンスなく予定されたスケジュールを終えることができました。
グループワーク
第13回クリティカルパス実践セミナーin姫路報告
−クリティカルパスの概念・必要性の理解と 作成活用能力の向上−
国立姫路病院外科医長 和田康雄
フリーディスカッション
平成15年10月11日、12日の2日間、当院において医療マネジメント学会主催の「第13回クリテイカルパス実践セミナ−in 姫路」が開催され、多くの参加者が集い盛況の内に無事終了しました。
近畿地区では第8回の国立循環器病センタ−に続き2回目の開催となりました。1日目は講師の方々による総論的な講演で、2日目は受講者による実際にクリテイカルパスを作る作業でした。今回の意見交換会は結婚式場を設定しましたが割合好評でした。開催をお引き受けした当初は色々不安なことも多かったのですが、前回開催の国立病院九州医療センタ−でのセミナ−を見学し、有用なアドバイスをいただき、なんとか大きなトラブルも無く終えることがで
きました。こういう企画がひとつの刺激となって、今後当院においてもクリテイカルパス使用の気運が高まることを期待しています。
グループワーク
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