平成14年11月16日に国立国際医療センターで第3回のリスクマネジメントセミナーが開催されました。当日は220人以上のかたがたが来場され、会場では終始熱心な討議がなされました。基調講演1は厚生労働省医政局医療安全推進室の新木一弘室長より医療安全推進総合対策の報告がありました。報告によると来年4月より特定機能病院、臨床研修指定病院における医療安全管理室(部)、患者相談窓口の開設などが義務付けられること、医師国家試験に医療安全の項目が盛りこまれるということです。基調講演2は国立保健医療科学院の長谷川敏彦部長で医療安全に関する、「意識つくり」、「組織つくり」、「知識つくり」の概念整理と、「質・安全改善の7つ道具」、「安全システムつくりのホップ、ステップ、ジャンプ」などの説明がありました。
事例報告では国立長野病院の武藤より、厚生労働省の事業である「ヒヤリ・ハット事例収集等事業」の2.4万件の収集事例の分析結果が報告されました。これによると、3大インシデント事例は「処方・与薬」、「チューブ・ドレーン」、「転倒・転落」で、NICUや小児のイン
質疑風景
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会場風景
シデント事例も増えたこと、また人工呼吸器や輸血ポンプのインシデント事例が多数収集されたことが報告されました。日本医科大学医療管理学教室の高柳和江助教授の報告では、インシデント報告の分析手法、特にひまわりSHELLの説明が会場の関心を引きました。東京医科歯科大学大学院の河原和夫教授は国内6病院の輸血インシデントの発生状況の分析から、輸血工程設計や管理の改善の必要性についてのべました。東邦大学薬学部非常勤講師で新医療教育企画代表の井手口直子氏は薬剤インシデントにおけるヒューマンエラーの減少について行動心理学的な立場から述べられました。聖路加国際病院のリスクマネージャーの寺井峰子氏は厚生労働科学研究により行った国内の病院のリスクマネージャーの活動に関する調査結果とともに聖路加国際病院における活動の実際について報告しました。
本リスクマネジメントセミナーは今後とも継続して開催予定です。次回以降は分析手法の詳細や、具体的分野たとえば人工呼吸器事故などについて検討を行っていく予定です。
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