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2002年12月1日          医療マネジメント学会News Letter            第10号(4)
第3回リスクマネジメントセミナー報告
−リスクマネージャーの役割と分析方法論−
国立長野病院副院長 武藤正樹
 平成14年11月16日に国立国際医療センターで第3回のリスクマネジメントセミナーが開催されました。当日は220人以上のかたがたが来場され、会場では終始熱心な討議がなされました。基調講演1は厚生労働省医政局医療安全推進室の新木一弘室長より医療安全推進総合対策の報告がありました。報告によると来年4月より特定機能病院、臨床研修指定病院における医療安全管理室(部)、患者相談窓口の開設などが義務付けられること、医師国家試験に医療安全の項目が盛りこまれるということです。基調講演2は国立保健医療科学院の長谷川敏彦部長で医療安全に関する、「意識つくり」、「組織つくり」、「知識つくり」の概念整理と、「質・安全改善の7つ道具」、「安全システムつくりのホップ、ステップ、ジャンプ」などの説明がありました。
事例報告では国立長野病院の武藤より、厚生労働省の事業である「ヒヤリ・ハット事例収集等事業」の2.4万件の収集事例の分析結果が報告されました。これによると、3大インシデント事例は「処方・与薬」、「チューブ・ドレーン」、「転倒・転落」で、NICUや小児のイン


質疑風景


会場風景

シデント事例も増えたこと、また人工呼吸器や輸血ポンプのインシデント事例が多数収集されたことが報告されました。日本医科大学医療管理学教室の高柳和江助教授の報告では、インシデント報告の分析手法、特にひまわりSHELLの説明が会場の関心を引きました。東京医科歯科大学大学院の河原和夫教授は国内6病院の輸血インシデントの発生状況の分析から、輸血工程設計や管理の改善の必要性についてのべました。東邦大学薬学部非常勤講師で新医療教育企画代表の井手口直子氏は薬剤インシデントにおけるヒューマンエラーの減少について行動心理学的な立場から述べられました。聖路加国際病院のリスクマネージャーの寺井峰子氏は厚生労働科学研究により行った国内の病院のリスクマネージャーの活動に関する調査結果とともに聖路加国際病院における活動の実際について報告しました。
 本リスクマネジメントセミナーは今後とも継続して開催予定です。次回以降は分析手法の詳細や、具体的分野たとえば人工呼吸器事故などについて検討を行っていく予定です。

プ ロ グ ラ ム
○日 時 平成14年11月16日(土)13:00〜17:10
○場 所 国立国際医療センター
     国際医療協力局5階大会議室
     東京都新宿区戸山1-21-1
13:00 開 会 医療マネジメント学会理事長 宮崎久義
   会長挨拶
   第5回医療マネジメント学会学術総会会長
                     山内英生
13:10〜14:40 基調講演  
        座長 国立熊本病院副院長 木村圭志
13:10〜13:40 
 基調講演@「医療安全推進総合対策について」
   厚生労働省医政局総務課医療安全推進室長
                     新木一弘
13:40〜14:40 
 基調講演A「インシデント・アクシデント分析手法の現況と課題
                   (新指南書)」
    国立保健医療科学院政策科学部長 長谷川敏彦
15:00〜17:10 シンポジウム 
     座長 国立相模原病院長 高橋俊毅
    慶應義塾大学医学部
       医療政策・管理学教室講師 池田俊也
@「インシデント報告システムより」
    国立長野病院副院長 武藤正樹
A「事故要因分析手法(SHELL、4M4E、根本原因分析)について」
    日本医科大学医療管理学教室助教授 高柳和江
B「輸血インシデント事例報告」
    東京医科歯科大学大学院
          医療管理学分野教授 河原和夫
C「薬剤師とヒューマンエラー」
    新医療教育企画代表 井手口直子
D「リスクマネジャーの活動について」
    聖路加国際病院リスクマネジャー 寺井美峰子