好天に恵まれ桜花盛りの4月7日(土)に第2回医療マネジメント学会熊本地方会がニュースカイホテルで開催されました。医療マネジメント学会は昨年6月に全国規模の学術総会が熊本で開催されましたが、その後各地で地方会が立ち上げられ熊本でも昨年11月25日に第1回熊本地方会を行ったことでした。今回はその後第2回目として更に発展した目的意識を持つ観点から「クリティカルパスをめぐる今後の展開」をテーマに開催されました。
今回の地方会の開催に当っては先ず2月9日に県内の各種の医療機関から代表の方々に参集頂き実行委員会を持ち、そこで規約の決定や役員選任が行われました。会長を小生が仰せつかり副会長には東大弼日赤副院長が決まり、また理事と監事の方々も決定された次第です。そして今後の活動として年に2回地方会を開催することとして第3回を今秋、第4回を来春として年次の理事会を開催することとなりました。
今回の第2回熊本地方会では国立長野病院武藤正樹副院長に「21世紀のクリティカルパス?その現状と展開?」と題して特別講演を行って頂きました。武藤副院長は講演の中でクリティカルパスの導入が各種の病院で進行している状況を示され、リスクマネジメントの関連でも有用である事など21世紀には
クリティカルパスは病院の運営上に欠かせないツールとなるであろうと述べられました。続いて一般演題に移り植木町立病院、水俣市立医療センター、熊本赤十字病院、
東北地方会活動報告
国立仙台病院 副院長 櫻井芳明
去る、平成13年4月17日、本学会の理事でもいらっしゃる東北大学医療管理学教室の齋田トキ子先生他12名の宮城県在住の会員が集まり、東北支部設立準備会を立ち上げました。
まだ東北地方の会員は、他地方に比し少なく、その多くが宮城県、福島県に集まっています。今回は、東北地方全体への啓豪の意味も込めて会名称を「東北地方会」として設立しようということになりました。その設立総会は2001年6月30日(土)、テ−マはクリティカルパスを中心に、記念講演に国立長野病院副院長武藤正樹先生、NTT関東病院及川智子先生、そして国立熊本病院野村一俊先生の御3人にお願いしました。又今回はパスの事例報告と共に「パス導入をめぐる諸問題」と題して、宮城県内会員による記念シンポジウムを企画しました。
まず、東北地方の会員及び主な病院、医師会に呼び掛け、設立総会とし、この会の中で、会則や会費、役員、学術集会の件等を決めてゆこうという事になりました。まずは6月30日(土)の設立総会に向けて、鋭意努力中といったところです。
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熊本労災病院、国立熊本病院2題、済生会熊本病院から計7題の発表があり、どの演題も熱心に工夫して取り組んでいるものでした。最後に我が病院のクリティカルパスと題してパネルディスカッションが行われ、熊本セントラル病院の米岡和代氏が外来日帰り手術パス、国立熊本病院の城雪子氏が白内障のパス、済生会熊本病院の河島英夫氏が理学療法のパスを呈示して活発な討議を行いました。
活発な発表と討議から印象に残った点を若干示しますと、パスが看護記録として診療録の中に認知されるかとの問題で武藤氏が東京都では一部正式に認める事になったと述べられた情報は重要であると思います。また、パスの中で薬剤等を統一する事は医師の裁量権を侵害する均一化ではないかという議論では、EBMが確りしていることが重要でEBMに基づいているなら問題ない標準化と云えると思われました。今回はこのEBMが重要であるとの指摘が随所に見られましたが、クリティカルパスが発展する過程で当然ながら押さえるベきポイントが明確に捉えられていまいした。
−分科会報告−
原価計算研究分科会
聖路加国際病院 渡辺明良
2001年のこれまでの本研究部会の活動は、前年から引き続き、クリティカル・パスを利用した疾病別原価計算について、Activity Based Costing(以下:ABC)を利用した手法に関する研究を進めた。
研究会を通じて、患者が入院してから退院するまでに、医療機関内で提供されているサービスに対するコスト算出方法について、コスト算出のための活動の整理方法が検討され、活動を基準としたコスト算出の可能性が示唆された。
具体的には、@インフラ的コストは部門別原価計算データを利用することで配賦が可能であること、A直接的に患者に提供されている活動については、医師からのオーダーの有無によってコスト算出方法が異なること、B特に、オーダーがない活動については、クリティカル・パスの情報が有効であること、C各活動には直接コストと間接コストが混在しており、間接コストを算出するためには、サブプロセスを明らかにし、等価係数などを駆使することで、サブプロセス1回あたりのコストを算出できること、D活動のコスト算出が最も困難な看護業務についてのコスト算出方法の整理が行われたこと、などが明らかになった。今後は実際の経営情報を当てはめ、計算プロセスを実行することで、検討した計算プロセスの妥当性を検証することになる。
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