5月12日に国立医療・病院管理研究所で医療マネジメント学会主催の第3回医療連携セミナーが全国各地から200名以上の参加者を得て開かれた。回を追うごとにこのセミナーのへの関心が高まっているが、今回も参加希望が多く、一部参加希望をお断りしなければならない程の盛況ぶりだった。
セミナーの基調講演では国立医療・病院管理研究所の長谷川敏彦部長が、米国の医学院の最新報告書「質の断裂を越えて」を紹介しながら、医療の質向上には切れ目のない継続的な医療の提供、つまり連携医療の構築が必須であると話された。また、大学付属病院が地域において医療連携を軸にもう一度リーダーシップを再構築することが大事であることを述べられた。また、東大付属病院医療社会福祉部の田城孝雄先生は、東大病院における退院支援の実情をはなされ、がん患者の退院支援多いこと、また退院支援が効果をあげて平均在院日数が21日までに減少してきたことを紹介された。同様に東京女子医大病院の下村裕見子氏は地域
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連携室ができてから、紹介率が向上し、同時に在院日数が低下してきことを詳細なデーターから報告された。
次に国立長野病院の金井昌子氏が地域医療支援病院27ヶ所のアンケート結果の報告をした。地域医療支援病院はほとんどが医師会病院であるが、中にはすでに急性期病院加算を取得している病院や入院外来比が1.5を割っている病院があり、こうした病院の中から急性期特定病院加算取得病院がでてくる可能性を示唆した。地域医療支援病院を自治体病院として始めて取得した藤沢市民病院の長谷川英之院長は取得の経緯を話され、紹介率向上のために救急に力を入れたことや、自治体病院が取得するにあたってのポイントについて話された。また、地域医療支援病院を比較的早い時期に取得した大宮医師会市民病院の北見翼院長は30年以上も前から行っているオープンベッドの状況や小児救急の様子を話していただいた。
地域医療支援病院は平成9年の医療法改正で創設された病院類型であるが、当初は二次医療圏に1ヶ所程度の病院が取得すると考えられていた。しかし、現実は現在も27ヶ所にとどまっている。しかし、今後紹介率が40−50%に達した急性期病院加算取得病院では、その紹介率は地域医療支援病院の換算では60−80%であるので、こうした高い紹介率を保つ急性期病院群から地域医療支援病院を取得する病院が増えていく可能性が国立長野病院の武藤より指摘された。
最後に厚生労働省保険局医療課課長補佐の井上肇氏とフロアーの質疑応答が行われ、最後に井上氏より、今回のセミナーで出た意見をこれからはじまる来年4月診療報酬改定作業の中で活かしていきたいという旨の特別発言をいただいてセミナーを終了した。
企画委員長:国立長野病院 副院長 武藤正樹
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