第4回電子カルテ分科会
−医療情報システムの標準化と情報保護−
東京医療保健大学医療情報学科教授 津村 宏
平成18年1月14日東京大学鉄門記念講堂で第4回電子カルテ分科会を開催しました。朝から冷え込んでいて午後には雨模様の中150名ほどの参加者がありました。
特別講演1は、東京大学大学院医学系研究科大江和彦教授の「医療情報システムにおける標準化と意義」の講演でした。紙ベースのカルテ情報と電子カルテ内に記録された診療情報との差異に関して、なぜ情報格差が発生するのか詳しく解説されました。それを踏まえて用語と医療行為に関するコードの標準化は、最も重要な標準化基盤である。更にオントロジカルな知識の形成が今後重要になると解説されていました。ご講演を聞いて、標準化の課題や今後の研究すべき課題などがすっきり整理できました。
特別講演2は、2003年から厚生労働科学研究班「保健医療福祉分野における個人情報保護の取り扱いに関する研究」の主任研究者を努められていた東京大学大学院情報学環・学際情報学府山本隆一助教授の「医療情報システムの安全管理−個人情報保護法およびE文書法への対応−」の講演でした。2005年3月の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の考え方、背景を実務に即しながら講演を頂きました。会場からも具体的な事例に関する質問があり、医療情報の安全管理で何をなすべきかが理解できました。
特別講演3は、岐阜大学大学院医学研究科白鳥義宗助教授の「今求められている電子カルテの機能」の講演でした。電子カルテは診療情報を電子化するためのツールとして見られる場合が多いが、重要なのは問題解決の手助けをするツールであるという認識をもって機能を見直していく必要があると解説されていました。標準化され一元管理された診療情報を如何に有効利用していくかが、今後の電子化のキーポイントであるということが理解できました。
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企業からは、株式会社サイバーラボおよび株式会社ハルクから製品の紹介がありました。サイバーラボのCyberFrameworkは米国スミソニアン博物館にも展示されているシステム構築用のツールであり、クリティカルパスの作成などプログラムによるコーディングなしでもシステム構築可能なことを、実演を交えて講演がありました。ハルクは、同社が開発している統合電子カルテシステムをはじめとしてチーム管理ツールやバリアンス候補自動収集などを特徴とした電子クリティカルパスシステムの紹介がありました。今回の分科会も時代の話題に即した具体的な内容であり有意義な分科会でした。
第5回北海道西胆振支部会
当番世話人:伊達赤十字病院 佐藤正文
医療マネジメント学会北海道地方会の支部会として北海道西胆振地区(室蘭・登別・伊達・洞爺など)で10月8日に開かれた医療マネジメント学会北海道西胆振支部会の報告をいたします。今回の当番世話人は伊達赤十字病院の佐藤正文先生で病院の関係者とともに大変お世話になりました。
第1回目に筑波記念病院の松島照彦先生、函館五稜郭病院(現在北美原クリニック)の岡田晋吾先生、国立札幌病院の磯部宏先生がクリティカルパスについてご講演をいただいて3年目となり、今回のテーマは再度クリティカルパスにしました。当日は181名の参加者があり、一般演題は4題、消化器癌におけるクリティカルパスの現状(日鋼記念病院)、当院における胃瘻造設パスの検討(伊達赤十字病院)、当院におけるICTの活動と現状(市立室蘭病院)、貯血式自己血輸血パス導入後3年間の実績(新日鐵室蘭総合病院)の発表のほか、指定演題「クリティカルパスの問題点と工夫」で市立室蘭病院、大川原脳神経外科病院、伊達赤十字病院、新日鐵室蘭総合病院の4病院の発表があり、活発に討論されました。
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