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2004年12月1日          医療マネジメント学会News Letter            第19号(4)
地方会開催報告
第2回高知県地方会
当番世話人:JA高知病院院長 中山拓郎

 8月28日(土)、JA高知病院(中山拓郎院長)コミュニティーホールにおいて、「第2回医療マネジメント学会 高知県地方会」が開催されました。
 今回の学会は、高知県下の医療機関から約250名が参加し、クリティカルパス・医療事故・電子カルテ等のテーマを基に18題の一般演題が発表されるとともに、ポスター発表を今回から取り入れ4題のクリティカルパス展示が行われました。また、日本医科大学医療管理学教室助教授の高柳和江先生をお招きして「患者安全は癒しの原則」と題した特別講演が行われました。
 一般演題18題は、クリティカルパス6題、院内感染4題、医療安全3題、地域連携、医事統計の活用等その他5題で、各病院とも研究会・委員会などを日頃から積極的に行っており、各演題はどれも医療の質と効率性に関する実践的な研究とマネジメント技法の集積と研究について論じられ、活発な討論が行われました。 特別講演では、高柳先生の笑顔、お人柄に講演開始後すぐに聴衆は引き込まれ、患者さんの立場に立つ病院づくりのための患者安全管理について貴重な研究と多くの経験に基づいた内容に感銘いたしました。
 最後に堀見忠司学会長(高知県・高知市病院組合立高知中央病院院長)は我々会員一同は、病院に関係する全ての職種の方々のご賛同をいただきながら、高知県の医療マネジメントに寄与できるように、一丸となって『より安全でより質の高い医療』を目指して努力して参りたいと話していました。
 なお、次回の第3回高知県地方会は高知医療センターで開催予定です。

第3回島根地方会
会長:益田赤十字病院院長 河野龍之助

 万葉の歌聖・柿本人麿が故郷への賛歌を詠じ、画聖・雪舟が珠玉の水墨画を描いた益田の地で、平成16年9月11日に医療マネジメント学会島根地方会が開催されました。メインテーマを《すすめよう医療の架け橋、めざそう医療連携》とし、特別講演に徳島赤十字病院院長の片岡善彦先生が「21世紀急性期病院経営戦略」と題して、病院にはマトリックス型組織の強化が必要で、各部門や委員会の充実と職員の意識徹底が最重要課題であることなどを講演されました。
 シンポジウムには、県内の基幹病院の医療連携担当者、医療行政の担当者と近隣の開業医の先生方に、「地域における病病・病診連携」について発表と活発なご討議がありました。その他に、ポスターセッションを19件、クリティカルパス展示を60件の発表がありました。
 各発表会場とも、看護師や医療連携担当者などさまざまな職種が熱心に聴講し、質問も多々あり、第3回にして学会としてのさらなる発展がみられたと感じられました。
 来年は平成17年9月10日に松江市で開催予定です。
(文責:益田赤十字病院第一産婦人科部長
                  水田正能)

会場風景


第4回北海道地方会
会長:新日鐵室蘭総合病院院長 足永 武

 第4回医療マネジメント学会北海道地方会は平成16年10月2日(土)、初めて札幌を離れ室蘭市にて開催されました。北海道の各地から参加者があり、221名と盛況な地方会となりました。病院管理者・医師の参加者も少しずつ多くなっています。医療問題に対してそれぞれの病院の取り組みが見えるユニークな面白い会とのうれしい感想をいただいた一方で、このような会をこれまで知らなかったという病院があり、北海道ではまだまだ広報の仕方に一考の余地があることを反省しました。
 一般演題発表が23題、クリティカルパス展示10題、医療の質改善、業務の効率化などをテーマにしたシンポジウム4題(旭川赤十字病院(牧野憲一氏)、函館五稜郭病院(岡田晋吾氏)、新日鐵室蘭総合病院(塚田秀子氏)、帯広厚生病院(川島陽子氏))、特別講演に東京医科歯科大学保健衛生学科助教授 阿部俊子先生が「看護業務のクリティカルパスを用いた標準化と医療の質の向上」について講演されました。発表内容ではクリティカルパスに関連する演題が14題、DPC,NST,TQMなどマネジメントに関連した演題が9題で活発な討論がなされました。北海道においてもクリティカルパスは徐々に広がりを見せ、医療マネジメントにおける標準化への流れ・院内のコミュニケーションの活発化・クリティカルパスの持つ様々なメリットが少しずつ認識されつつあると感じました。阿部先生には医療の質の向上について「チーム全体で標準化していく中で質の底上げをしていくこと」、「患者さんにわかる医療の質を提供していくこと」の重要性、また、ISO9001をもとに、医療サービスの質を保証するための活動を体系化した「品質保証体系図」、医療サービスを実現するための「プロセスフローチャート」について概説していただき、自分たちのプロセスに患者の求めるニーズを如何に取り入れていくかという今後選ばれる病院となるために必要なポイントを指摘していただきました。また、講演の中では普段言いたいことも言えぬ看護師の思いを阿部先生が代弁されたためか会場内の多くの看護師さんたちはつかえた物が取れたようで、晴々とした様子に変身していました。標準化の大きな障害「人バリアンス」、「びっくりオーダー」など魅力的なキャッチフレーズを投げかけてもらえたインパクトのある講演でもありました。
 全体を通して内容のある発表が多く、大変充実した会であったのではないかと自画自賛しています。今後ともこの会が発展していくことを願っております。
(文責:新日鐵室蘭総合病院副院長 鈴木康弘)

青森県支部特別講演会

 平成16年10月7日(木)、青森市において原田征行(青森県立中央病院長)医療マネジメント学会青森県支部長を座長として特別講演会を開催しました。本講演会では、日本経済新聞社論説委員の渡辺俊介先生に『医療改革の動き』という演題名で、医療界における今後の改革の方向性と展望を主題にお話していただきました。
 本講演会は、青森県医師会と青森市医師会の御後援をいただき、病院勤務の医師ばかりでなく、開業されている医師や病院事務局をはじめとする医療関係者が70名ほど出席され、医療改革に対する対処や対策に関して数多くの質疑応答がなされ、非常に有意義な会となりました。今後とも当支部におきましては、このような特別講演会を適宜開催していく予定です。
(文責:医療マネジメント学会青森県支部事務局
                  藤野安弘)

第4回栃木地方会
会長:上都賀総合病院院長 田代亜彦

 平成16年10月9日(土)午後、国立病院機構栃木病院地域医療研修センターにおいて開催されました。折から台風22号の関東地方直撃必至という中で、筑波メディカルセンター病院長・石川詔雄氏の特別講演を別の機会に延期させていただき、シンポジウムとクリティカルパスの展示時間を短縮して、終了時間を大幅に繰り上げて決行されました。台風にもかかわらず232名という昨年を上回る出席者があり、用意した座席が足りないほどでした。
 シンポジウムは済生会宇都宮病院長中澤堅次氏と県医師会常任理事池田舜一氏の司会で「医療連携」をテーマに、5病院と県医師会から発表をいただきました。国立病院機構栃木病院の田代昌継氏は、旧国立栃木病院時代からの地域基幹病院としての立場からこれまでの歴史的なご苦労と、国立病院機構病院としての将来展望を述べられました。栃木県医師会副会長の高橋三喜氏は、平成15年度より栃木県医師会医療連携推進委員会を設置し、県内医療機関の基本情報を収集し、ホームページで医療機関情報サービス(「一般県民向け」と「会員専用」)を行う旨報告されました。佐野厚生総合病院の奥沢星二郎氏は、紹介患者に担当医が必要事項を記載する「地域医療連携カード」を作成し、紹介患者管理の改善が顕著であった旨報告されました。済生会宇都宮病院の森川真一氏は、転院後死亡患者について調査し、予想外の転帰であったものが少なからずあり、送る側の意識改革が必要であるとの興味深い報告をされました。上都賀総合病院の福井光男氏は、地域に対する病院の広報、救急体制の整備、登録医制と共同利用促進により、紹介率35%以上を維持していると報告しました。大田原赤十字病院放射線科の水沼仁孝氏は、放射線科の紹介率は99.7%、全科紹介患者の15.4%を占め、種々の加算を可能にし、病院経営に大きく寄与していると報告されました。
 クリティカルパスは9病院から58種が展示され、雨・風が強くなっても時間ぎりぎりまで熱心に討議されました。
 本会は、DPCの導入を控え、クリティカルパスを中心に今後益々盛大になることを予感させました。