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2004年12月1日          医療マネジメント学会News Letter            第19号(3)
セミナー開催報告
第10回医療連携セミナー
     国立病院機構長野病院副院長 武藤正樹

 第10回医療連携セミナーが、平成16年9月25日に国立国際医療センター(東京都新宿区)で、200名以上の参加者を得て開催されました。はやいものでこのセミナーも10回を迎えましたが毎回、定員オーバーする参加者があり医療連携への関心の高さを示しています。
 今回のセミナーの基調講演は国立保健医療科学院の長谷川敏彦部長により「21世紀型医療連携」の題で行われました。長谷川部長によると、21世紀の医療環境は、特に団塊の世代が高齢化を迎える2015年に大きく変節点がくるといいます。またそのころには供給側の医師像も大きくプライマリケア医を中心に変わると予測しました。さらに医療連携では疾病単位の連携である疾病管理モデルが重要になることを強調しました。
 次にシンポジウムでは「地域医療支援病院と逆紹介」というテーマで地域医療支援病院あるいは支援病院を目指す病院より発表が行われました。まず国立病院機構熊本医療センターの木村喜美生経営企画室長より、同病院の地域医療支援病院の運営の現状と7月の医政局の通知により地域医療支援病院の紹介率が見直された以降の、紹介率,逆紹介率の現状が報告されました。次に慈泉会相澤病院医療連携センターの池田隆一課長より、IT技術を活用した「医療連携ネットワークシステム」による患者情報の登録医との共有化の現状が報告されました。このシステムにより紹介医による入院患者訪問の機会が増えて円滑な逆紹介につながっているといいます。次に淀川キリスト教病院クオリティ管理室の行本百合子室長より同院の紹介率が2004年5月より80%を超え、また逆紹介率も30%を超えた現状と、同院の地域医療支援病院の申請準備状況が報告されました。そしてトヨタ記念病院の安田武司内科部長より同院のTM-Net(地域医療連携ネットワークシステム)で検査結果や画像診断をかかりつけ医に送ることができるようになり、逆紹介に活用されている実情が報告されました。



 最後に国立病院機構長野病院の武藤と地域医療連携室の金井昌子より、7月22日付けの医政局通知による地域医療支援病院の紹介率見直しと、その影響についての地域医療支援病院アンケート結果の報告がなされました。アンケートによると影響の大きかったのは紹介率の算定式から再診患者をのぞかれた点です。これにより算定式の紹介患者、緊急入院患者ともに再診患者を含めていた病院では平均25.2%の紹介率の大幅ダウンとなりました。また緊急入院患者にのみ再診患者を含めていた病院では平均22.4%の紹介率ダウンとなりました。特にアンケートの意見としては緊急入院患者から再診患者を除くことに対する疑問の声が多くよせられました。
第17回クリティカルパス実践セミナーin熊本
−クリティカルパスの概念・必要性の理解と
              作成活用能力の向上−
国立病院機構熊本医療センター内科部長 清川哲志
 国立病院機構熊本医療センターに於いて、10月23日より2日間にわたり第17回クリティカルパス実践セミナーが開催されました。今回は全国より72名の方々が参加していただきました。 参加者の共通の問題点として、病院ではすでにクリティカルパスは幾つかできているが十分に活用されていない。病院全体の取り組みとなっていないためにクリティカルパス作りが停滞している。クリティカルパスの見直しがなされていない等々のことが挙げられました。 この実践研修では、初日の講義の中で、クリティカルパスは達成目標(退院基準)を持ったアウトカムマネジメントのためのツールであることを再認識して頂きました。「クリティカルパスで一番大切なことは達成目標の設定である」。このコンセプトを、野村一俊先生を中心とした簡潔な講義で明確化しました。また、見直しのためのバリアンス分析の重要性について解説がありました。研修の第2日目には、グループワークで実際にクリティカルパスを作成ソフトを活用して作成しました。さまざまな病院から専門性の異なった参加者でのグループワークなので、いろんな意見をまとめるのは大変ですが、積極的に参加して頂きました。最後にできあがったクリティカルパスを各グループが発表し意見の交換を行い修了となりました。回を重ねるごとに参加者のクリティカルパスへの認識、実践が深みを増してきていることを感じております。さらに研修内容を向上させて続けて参りますので奮ってご参加ください。
医療マネジメント学会年会費改定のお知らせ
この度、平成17年度からの正会員年会費につきまして、平成16年度第1回理事会において検討され、評議員会、総会の議を経て右記のように改定されることとなりましたのでご承知おき下さい。