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(4) 2002年2月1日         医療マネジメント学会News Letter            第7号
セミナー開催報告
第4回医療連携セミナー開催報告
−急性期病院の外来と医療連携(U)−
国立長野病院 副院長 武藤正樹
 平成13年12月1日に東京の国立医療・病院管理研究所で第5回医療連携セミナーが、約230人の参加者を得て開かれた。本セミナーは医療マネジメント学会のセミナーの中でも好評をいただいているセミナーで、今回、過去のこのセミナーの内容をまとめたテキスト「新たな医療連携の実践」(株式会社じほう 平成13年12月)が出版された。
 さて、第5回医療連携セミナーは医療連携の問題を急性期病院の外来に着目して開かれた。まず、恒例になった基調講演が国立医療・病院管理研究所の長谷川敏彦部長よりあった。長谷川部長によると病院と診療所の営業形態には4タイプあるという。@他力本願型:自院のプライマリ外来はスリムにして、外部の診療所に頼って紹介患者を送り込んでもらう、A囲い込み形:病院がドクタービルを作ってそこに開業医を囲い込む、Bおとり、うがい(鵜飼)型:病院から外来を分離して地域の中で鵜飼をさせる、C自力本願型:病院が自分でサテライトクリニックを形成する。
 次の事例報告では、まず浦添総合病院からの発表があった。浦添総合病院は急性期特定病院加算、地域医療支援病院、臨床研修指定病院をほぼ同時に取得した急性期病院の3冠王であるが、病院長の川西秀徳氏は、外来の計画的ダウンサイジングにあたっては採算を十分に考えた慎重な計画が必要なことを自院の経験を基に話された。
 二番目に聖路加国際病院の外来婦長の玉橋容子氏が看護外来と注射センターの具体的な運用について軽妙な語り口で話された。印象に残ったのは看護外来で看護婦が主体的に外来患者とかかわることで患者の満足向上のみならず、外来患者の合併疾患の発見にも効果があるということであった。また、注射センターでは化学療法に精通した看護婦がかかわることで専門的な看護提供がなされているとのことだった。
 三番目の事例は佐久総合病院副院長の夏川周介氏より日帰り手術センターの現状が報告された。日帰り手

会場風景

術センターは最初、長野県の郡部で高齢化の進んだ地域にある佐久総合病院でどれほど利用があるかという懸念があったが、実際は大変よく利用されている。
 現在手術件数の約30%が日帰り手術センターでおこなわれていて、日帰り手術センターは病院のシステムの中で定着したという。
 四番目の事例は国立熊本病院の野村一俊医長より外来と入院を結ぶクリテイカルパスについての発表があった。入院医療の外来シフトでこれからは外来からクリテイカルパスが始まるであろう。
 五番目に国立長野病院の武藤より、米国で2000年より始まった病院外来における定額払い制度であるAPCの解説があった。APCは入院医療におけるDRGと対比して考えることができる。米国でもまだ始まったばかりで評価は定まっていないが、その動向に注目すべきであろう。
 最後に厚生労働省医政局指導課医療計画推進指導官の柏樹悦郎さんより総括発言があった。柏樹指導官によれば医療連携には行政主導でおこなう「野球型」医療連携と、各医療機関が自発的に連携を行う「サッカ−型」連携があるという。これからの「小さな政府」が主流となる21世紀には各医療機関が自身のポジションを明確にしてそれぞれの役割を行政の細かい指示なしでも健康ゴ−ルをめざして自発的にプレ−をするということが必要になるだろうとのことだった。
プログラム
日 時 平成13年12月1日(土)13:00〜17:00
場 所 国立医療・病院管理研究所 2階大講堂   東京都新宿区戸山1-23-1
13:20 開 会  医療マネジメント学会理事長 宮崎久義
13:30〜14:30
   基調講演 「外来」の未来学            国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長 長谷川敏彦
14:40〜17:00 事例報告      「変わる急性期病院の外来像」
    @「「急性期病院の外来のあり方」                        仁愛会浦添総合病院長 川西秀徳
    A「看護婦が主体的に関わる外来と点滴センター」             聖路加国際病院外来婦長 玉橋容子
    B「日帰り手術センターについて」                          佐久総合病院副院長 夏川周介
    C「入院と外来を結ぶクリティカルパス」                  国立熊本病院整形外科医長 野村一俊
    D「米国における病院外来疾患群別定額制(APC)について」          国立長野病院副院長 武藤正樹
     特別発言                       厚生労働省医政局指導課医療計画推進指導官 柏樹悦郎