第19回日本医療マネジメント学会学術総会

日本医療マネジメント学会

会長挨拶

田所慶一
第19回日本医療マネジメント学会学術総会
会長 田所 慶一
独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター名誉院長

この度、第19回日本医療マネジメント学会学術総会を七夕の時期に開催させていただくことになりました。仙台市での開催は第5回学術総会以来となります。全国からお越しいただく皆様にとって有意義な会となるよう職員一同鋭意準備を進めております。

戦後70年を経過し、日本は大きく変わりました。終戦からしばらくは、皆同じように貧しく、限られた資源を分かち合いながら生きてきたのですが、1970年代ごろになると次第に国民の間に様々な格差ができ、受けることができるサービスに差を生じるようになりました。しかし医療に関しては、国民皆保険制度などにより、誰でも必要な時に必要な医療を受けることが可能となっています。我が国の医療に関しては、OECDの中で投入資源が必ずしも多くない状況で、WHOから高い評価を受けてきました。古代ギリシアの歴史家であるヘロドトスが語るエピソードの中に「古代のバビロニアでは、誰でも病人にどういう病気か訊ねずに、知らぬ顔をして通り過ぎてはならぬことになっている。」(医学の歴史 梶田 昭)とあります。このエピソードのように、我が国の医療現場の多くの方たちが真摯に、献身的に業務に取り組んできたお蔭で、高いレベルの医療が提供されてきたと思われます。しかし近年は保健医療支出が急速に増加し、効率性を高める必要性も指摘されています。長年培ってきた我が国の質の良い医療を今後も提供し続けるためには知恵を絞る必要があります。ハード面の充実はもちろん重要ですが、職員が安心して働き、持っている力を十分発揮できるようにする工夫が求められます。経営者が医療安全や、感染防止などに関心を持つことは、働く職員にその重要性を示すだけではなく、安心感を与えることになります。知識、技術を確実に身に着けるための系統的な教育は大変重要です。業務が正確に実施されるために、クリティカルパスの導入、マニュアル類の整理などによる標準化も必要です。しっかりした経営分析を行い、安定した運営を図ることも求められます。また今後急速に進む高齢化社会に向けて介護の充実も図らなければなりません。安心して働くことができ、提供する医療、介護により成果を上げることができれば、職員はさらに質の改善に取り組み、患者の満足度も向上します。本学術総会では患者・職員の満足を目指し、様々な議論を交して知恵を出して行きたいと考えています。

本学術総会では一般演題発表、シンポジウム等のほかに、一部を御紹介しますと招待講演として伊達家第18代当主の伊達泰宗氏、市民公開講座として作家の伊集院静氏、特別講演として東北大学加齢医学研究所教授の川島隆太氏、教育講演として東北大学大学院教授の藤森研司氏など仙台に縁のある方、また、各分野で御活躍されている皆様に講演をお願いしておりますので御期待ください。

第19回日本医療マネジメント学会学術総会は2017年7月7日(金)、8日(土)仙台国際センターで開催予定です。2015年12月に仙台市内2本目の地下鉄である東西線が開通しました。JR仙台駅から会場までわずか5分、緑豊かな青葉山の麓、清流広瀬川のほとりにある仙台国際センターで皆様をお待ちしています。