満足度調査による退院支援の評価

楠本順子1)2) 川崎浩二2)

1) 九州保健福祉大学大学院社会福祉学研究科社会福祉学専攻博士課程
2) 長崎大学医学部・歯学部附属病院 地域医療連携センター

【要旨】
 本研究は、某大学病院において退院支援部署が直接支援した患者(直接支援群)と病棟スタッフを介した支援が行われた患者(間接支援群)間で、また、直接支援群の中での支援内容によって患者評価レベルがどのように異なるかを検討することを目的とした。2006年10月〜12月に退院した患者のうち、入院時スクリーニングで退院支援が必要とされた患者140名を対象に、患者満足度評価尺度日本語版(CSQ-8J)に準拠した16項目からなる質問紙調査を行い、直接支援群と間接支援群の2群間の相違を統計的に比較検討した。また直接支援群を、受けた主な支援内容によって「在宅支援群」「転院支援群」「療養相談群」に分類し、各群の患者評価レベルの相違を検討した。その結果、直接支援群が間接支援群よりも、「福祉サービス利用方法の説明」「介護方法の指導」についての満足度が有意に高く、直接支援の有用性が示唆された。また、直接支援群の中では、「在宅支援群」が、「転院支援群」や「療養相談群」よりも退院後の治療や生活に対する説明等に関する5項目についての満足度が有意に高く、患者・家族と共に退院準備を進めていく「在宅支援」体制が患者の満足度に繋がったと推察された。