インスリン治療の安全性向上のための取り組み
−インスリンスライディングスケールの標準化−
内田祝子1) 平井完史2) 小川晋2) 庄子由美2)
全田文子2) 梅澤昭子2) 上原鳴夫3)
1)前・東北大学先進医工学研究機構
2)東北大学病院
3)東北大学大学院医学系研究科国際保健学分野
【要旨】
糖尿病患者の増加に伴い,医療従事者がインスリンを使用する機会が増えている.入院中の多様な状況に対してインスリンスライディングスケールが使用されることも多いが,その指示は医師により多種多様であり,インシデント発生原因となりうる可能性が指摘されている.東北大学病院では平成14年にインスリン治療の安全管理を目的とする医師・看護師・薬剤師からなる合同プロジェクトチームを結成し,PDSAサイクルの手法を用いて活動を行った.活動の一つとして病院全体でのインスリンスライディングスケールの標準化を行った.平成17年2月のアンケート調査では標準化インスリンスライディングスケールにより医師・看護師の作業効率が向上したこと,標準化指示が病院内で幅広く使用されていることが示された.本活動を継続することにより,インスリン関連のインシデントの低減,インスリン治療の安全性向上が期待される.