外科におけるクリティカルパス導入による
医療の標準化とEBMの活用

一特にSSI(手術部位感染症)予防について一


岡田晋吾1) 稲葉亨1) 入野田崇1) 
早川善郎1) 目黒英二1) 貝塚広史1)
  田畑育美2) 島田志保2) 三上恵生2)

函館五稜郭病院
1)外科 2)看護部中4病棟

【要旨】
 当院外科では1999年からクリティカルパス(以下CP)を導入し現在までに13種類のCPを作成し活用している。CP作成過程でそれぞれの専門医師の意見を基にして看護職など関係部署と相談して、指示などを統一することが可能となった。つまり当院外科において同一疾患で手術を受けられる場合にはどの医師に受け持たれても同一の医療を受けられることとなった。このことは恵者が今まで抱いていた医師による医療の違いに伴う不安、不信感の解消につながった。さらに医療の標準化の結果EBMを取り入れることが可能となった。そこで当科ではCDC(Center for Disease Control and Prevention)のガイドラインに基づき剃毛の廃止、抗生剤適正使用などを取り入れた。ただ抗生剤の種類、投与日数については経験未熟な医師の反対もあり、まず各疾患2種類の抗生剤、また使用日数も疾患によって1〜3日とした。その後SS1(SurgicalSiteInfection、手術部位感染症)のサーベイランスを活用して当院SSI発生データを得て、現在では各疾患1種類で投与日数も短期間となっており、使用量は2年前の半分以下に減少している。このことは業務の改善のみでなくリスク、コストの改善にもっながった。医療の標準化は患者にとっての医療への不信感を取り除く効果もあるが、医療者にとっても新しい医療技術やEBMを取り入れる土台となっていると思われる。今後多施設のCPとのベンチマークなどを行うことにより、CPを通じて得られる新たなEBMが形成され医療の標準化が尚一層進み、患者の満足度の向上や医療の適正化、医療の質の向上にっながるものと考えている。 。