<事例報告>
リウマチ登録薬剤師による膠原病治療薬の適正使用マネージメント
〜SLE患者へのヒドロキシクロロキン投与量の介入事例〜


岩本里味1) 山根隆志2)

加古川市民病院機構加古川中央市民病院
  1)薬剤部
2)リウマチ膠原病内科

【要旨】
 膠原病領域の治療薬は近年急激に進歩しており、免疫抑制治療や副作用予防による多剤併用など薬物療法は複雑化している。このため加古川市民病院機構加古川中央市民病院リウマチ膠原病内科病棟では、専門的な薬剤の処方状況をリウマチ登録薬剤師が確認し、必要に応じ副作用出現リスク軽減のため介入を行い、リスクの軽減を図っている。本報告ではその一例として、SLEの標準治療として用いられるヒドロキシクロロキン(以下、HCQ)の蓄積による網膜毒性に対する薬剤師の介入について報告する。
 HCQ投与量は実体重当たり5.0r/kg/日を超えないこと、腎機能障害例での減量で蓄積を最小限にするよう推奨されている。今回診療録より後方視的に調査し、HCQ5.0r/kg/日以上かつeGFR50 mL/min/1.73u以下の症例でHCQ非減量例に対して減量を提案した。
 実体重当たりのHCQ投与量5.0r/kg/日以上が31例 (30.1%)、eGFR50 mL/min/1.73u以下が20例 (19.4%)であった。8例で減量すべきと思われた。提案後うち 6例 (75.0%)で減量となった。網膜症出現もなかった。
 今回の介入では過量投与例6例が減量でき、今後の蓄積を減らすことにつながった。
 このように、膠原病領域においてリウマチ登録薬剤師がガイドライン等より常に新しい知識を収集し専門的な立場から定期的にアセスメントすることで、最適な治療のサポートができると考える。