<事例報告>
電子カルテからの臨床指標データ作成における課題:データ分析者とデータ抽出者の連携の重要性

松本 聡子1)2) 国松加奈子3) 村木 泰子3)4) 大 南3) 秋山 剛1)

1)NTT東日本関東病院 品質保証室
2)帝京大学 医学部 内科学講座
3)NTT東日本関東病院 情報システム担当
4)東海大学大学院 医学研究科 先端医科学専攻

【要旨】
 電子カルテは診療情報を一次利用することを目的として設計されているため、臨床指標の算出を含め、診療情報を二次利用するデータベースシステムとしては様々な制約が存在する。今回、NTT東日本関東病院の電子カルテから臨床指標データを作成する際に目的としたデータが抽出されなかった事例の内、「臨床状況に正確に対応するデータ抽出方法の検討」に該当したものについて、1)フォーマットの相違(SQL作成時)、2)フォーマットの相違(excelへの取り込み時)、3)欠損値の扱い、4)単位の不一致、5)ダミー患者の混入、6)データ抽出期間、7)Closed recordsとOpen records 、8)臨床行為のSTATUS、9)臨床行為の実施と記録のずれ、10)臨床行為の記録箇所、にパターン化して提示した。10のパターンは、「電子カルテから情報を抽出する際に発生するデータの表示形式に関する課題」「データの対象の定義に関する課題」「臨床データの流動性に関連する課題」に分類された。これらの課題は、データ分析者とデータ抽出者(二者)の連携により分析され、解決案が考案された。様々な要因について二者が事前のうち合わせを実施した後に抽出されたデータの妥当性の確認を行い、課題への対処を二者が連携して行うことにより、正確な臨床指標データの作成が可能になると思われる。