<原 著>
回復期リハビリテーション病床におけるCVP分析を用いた損益分岐点の比較研究
磯山浩孝1) 荒井 耕2) 吉田和也1)
1) 社会医療法人愛仁会 愛仁会リハビリテーション病院
2) 一橋大学大学院経営管理研究科
【要旨】
回復期リハビリテーション病棟において、CVP分析を用いて損益分岐点となる病床稼働率を算出した。
対象4病院はいずれも関西地域で、おおむね100%の病床稼働率で運営している病院である。また、同法人グループ内の急性期病院からの紹介患者に依存していないという点でも共通している。
結果は、減価償却費を含めない費用は1病院が59.0%の稼働率で損益分岐点となったが、他3病院は73.8%〜76.2%とほぼ横並びであった。また、減価償却を含めると1病院は61.7%であったが、他3病院は77.9%〜85.0%と約80%の稼働率が必要な結果であった。
1病院の損益分岐点が低い理由は人件費の差に基づいていた。出来高のため変動的収益となるリハビリテーション提供料に対する費用として、リハビリテーション療法士人件費を変動費とみなすことによって、病院運営の差異が明確となった。回復期リハビリテーション病棟運営にあたり、管理可能性の高い部分で比較することは有益であると考えられる。