<事例報告>
大規模病院における入退院支援センター設立への取り組み

齋藤 登1) 吉野由希1) 浅香えみ子2) 岡田 弘1)

1) 獨協医科大学埼玉医療センター 総合患者支援センター
2) 東京医科歯科大学医学部附属病院 看護部

【要旨】
 高度急性期医療と地域医療支援を担う首都圏の大学病院にて、予定入院患者の身体的、社会的、精神的情報を入院前に把握・共有し、多職種で問題解決や退院後も含めた一貫した支援を目的として入退院支援センターを開設した。病床管理の合理的運用も念頭にクリティカルパス(以下、パス)を用いた多職種連携がタスクシフティングにもつながる院内戦略として取り組んだ。従来、各科外来や病棟看護師が行っていた@患者基本情報の収集、A入院後の手術や検査、治療に関する説明・指導、B退院支援につながるマネジメントなどを主な業務とした。このため、入院予約時から入退院業務の標準化を図る目的で患者説明用の入院前予定表(入院前2週間/入院前1週間のバージョン、それぞれに手術あり・手術なしの計4パターン)を作成・運用を基本にした。入院前に医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・歯科医師・麻酔科医師・理学療法士による身体状況や服薬、栄養状態などの確認、口腔ケア、呼吸訓練・禁煙指導を行い、安心安全な療養生活、日常生活への早期回復につながること、退院後調整の必要性が判明した際、多職種が関わるコーディネートを行う早期介入のメリットも生じた。患者・家族の不安軽減、理解〜患者満足度上昇を図ることや入院DPC上位疾患パスの整備にも寄与した。入院前から多職種協働の入退院支援は複数診療科を抱える大規模病院においても行うべきマネジメントであると示唆された。