<事例報告>
データウェアハウスを活用した退院支援管理システムの
在院日数に及ぼす効果
川本俊治1) 重松研二1) 河野由佳2)
田村 律1) 松田守弘1) 上池 渉
国立病院機構呉医療センター 1)医療情報部 2)地域連携室
【要旨】
今回、我々は電子カルテに入力された様々な情報をデータウェアハウス(以下DWH)経由で活用する退院支援管理システムを構築したので、在院日数に及ぼす効果を明らかにする。
退院支援管理は1)リスクスクリーニング、2)標準化カンファレンスによる退院支援計画立案、3)計画の進捗管理機能で構成した。退院支援のリスク評価は一次項目と詳細項目に分類して標準化し、電子カルテの患者基本情報に組み込んだ。管理システムはDWHから疾病・身体情報、看護必要度、日常生活自立度、認知症項目を抽出し、責任者が介入症例を選定した。退院計画は現在の課題と対策を多職種カンファレンスで明確化して立案し、さらに管理システムで退院計画の進捗管理を行った。
在院日数50日超え患者数はシステム導入により大きく減少した。標準化カンファレンスの使用率は導入半年毎に有意に上昇し(それぞれ、8.7%、59.2%、76.3%、p<0.05)、カンファレンスがより早期に開催され(それぞれ、38.4±45.0日、21.0±22.2日、10.0±12.8日、p<0.05)、MSWコンサルトも早期となり(それぞれ、34.8±32.2日、25.9±21.4日、28.0±23.8日、p<0.05)、在院日数も有意に短縮した(それぞれ、67.0±51.2日、45.4±32.7日、39.5±28.2日、p<0.05)。以上から、DWHを活用した退院支援管理システムの活用が退院支援カンファレンスの入院早期実施につながり、長期入院患者の減少につながった。