胃部分切除に対するクリティカルパスの作成・導入について
梨本篤 藪崎裕 滝井康公 土屋嘉昭 田中乙雄
新潟県立がんセンター新潟病院外科
【要旨】
胃疾患に対する縮小手術が増え、胃癌や胃粘膜下腫瘍に対する胃部分切除(PG)や腹腔鏡下手術に対するクリテイカルパス(CP)が必要になってきた。そこでCP未施行37例を対象に周術期の諸項目について分析した。【結果】入院日数は中央値16日(9-25日)、術後日数は10日(8-19日)、点滴輸液は5日(3-10日)とかなり幅がみられた。しかし、経鼻減圧管抜去は第1病日、硬膜外チュ−プ、導尿カテーテル抜去は第3病日であり、水分開始2日目、食事開始3日目、抜糸7日目はほぼ同様であった。【CP作成】分析結果を参考にしてPGに対するtime-task matrix方式のCPを作成した。縦項目に検査、薬・点滴、治療処置、観察、食事、活動、清潔・排泄、安全、教育・指導・IC、チェック項目、バリアンス、実施者サインを設け、横項目に入院日から退院日までの期間を設定した。医療者用には□によるチェック方式を用い、主治医のサインを得て始動する。チーム医療を念頭に置き、主治医、麻酔医、看護師、薬剤師、栄養士など各部門の連携をCPに組み込んだ。術前2日前入院、術後8日目退院とし、抗生剤は1日法とした。食事は3日目こ開始し、3分粥から1食上げとして全粥までとした。原則として全例にCPを適応する方針とした。まだ、5例に適応したのみであるが、術後ほぼCP通りに経過し医療要因のバリアンスはなく、PGに対しては妥当なCPであると思われた。