<総 説>
がん患者指導管理料算定に関する文献検討
奥山絢子1) 武村雪絵2)
1)聖路加国際大学大学院看護学研究科
2) 東京大学医学部附属病院
【要旨】
本研究では、がん患者に対する治療方針の決定、心理的苦痛や抗がん剤の副作用等の管理に関して、がん患者指導管理料算定状況とこれらの支援の効果に関する報告状況を明らかにすることを目的に文献調査を行った。
2010年4月から2023年8月までに医中誌Webに掲載された文献を対象に、がん患者と相談支援を組み合わせて検索を行った。医師、看護師や臨床心理士による意思決定や心理的支援、又は薬剤師による抗がん剤副作用等の支援について、日本で実施された研究を選定し、算定状況と効果について検討した。
選定基準を満たす18文献をみると、算定は患者のニーズだけでなく、医療従事者の連携体制が影響を与えている可能性が示唆された。外来で看護師や臨床心理士、薬剤師等が支援を行うことで、患者の理解が深まること、患者や家族との連携調整がスムーズになること、抗がん剤治療の有害事象の軽減につながる可能性も示唆された。今後、より多くの患者が恩恵を受けられるために、実施施設を広げるとともに、ランダム化比較試験等の介入効果を検証する研究が求められる。