<原 著>
急性期病院の医療チームでの多職種連携に対するシェアド・リーダーシップの役割

宮川昌巳1) 藤原浩一2)

1) 京都市立病院 消化器内科・腫瘍内科
2) 同志社大学大学院 ビジネス研究科

【要旨】
 本研究の目的は、急性期病院の医療チームにおけるシェアド・リーダーシップの存在、シェアド・リーダーシップと多職種連携との関係を明らかにし、これらに影響を与える要因を抽出することである。
 K病院の8つの医療チームとそのメンバー67名を対象に、多職種連携評価スケールであるAITCS-II-Jとリーダーシップ、フォロワーシップの各スコアに関するアンケート調査を行った。その結果、シェアド・リーダーシップスコアとAITCS-II-Jスコアに有意な正の相関を認めた(r=0.712、 p <0.05)。また、シェアド・リーダーシップスコアとシェアド・フォロワーシップスコアに有意な正の相関を認めた(r = 0.924、 p <0.01)。メンバー個人の分析では職歴10年未満群と職歴10年以上群の2群間において、リーダーシップスコアはt(66) = -3.320、 p <0.005、フォロワーシップスコアは、t(66) = -2.148、 p <0.05といずれも職歴10年以上群でスコアが有意に高かった。
 急性期病院の医療チームではシェアド・リーダーシップが成立し、多職種連携の機能に影響していた。また、医療チーム内でリーダーシップとフォロワーシップを発揮していると認識されるには、10年以上の職歴が関与していた。