<事例報告>
「スタッフ間のポジティブフィードバック」
組織全体に賞賛文化をもたらす取り組み


嶋崎明美

国立病院機構姫路医療センター 臨床検査科

【要旨】
 国立病院機構姫路医療センター臨床検査科はISO15189の認定を取得している。2015年に、検査技師全員と検査科医長が参加する全体会議の項目に「スタッフ間のポジティブフィードバック(以下、positive feedback)」が追加された。2023年3月までの8年間、毎年複数件の発表があった。発表者は管理者、対象者は一般技師が一番多かった。メッセージの内容は、外来採血や担当外業務の支援、種々の改善姿勢、5S活動等であった。会議での発表と別に無記名レポートにもpositive feedbackは記載された。
 感謝を表明することは、対人関係の維持・改善効果を持つポジティブ心理学的介入の一つであり、感謝の経験が職場で共有されることで組織の一員としてのアイデンティティの強さを促すとされる。つまり、個人的な表明に加えて全体会議での発表や掲示物として職場で共有する集合的感謝に意義があると考える。
 課題は発表件数の減少で、原因として喚起者の人事異動や発表内容の特別視が考えられた。ポジティブ認知やマインドフルネスについての講義でpositive feedbackの実践に前向きな感想を得ており、講義による喚起者育成等の工夫をして課題を克服していく。
 positive feedbackは賞賛文化をもたらして良好な人間関係からなる組織作りに貢献することから、この取り組みを継続していく意義は大きいと考える。