<事例報告>
救急病院における医師のタスクシフトに関する影響要因

阪口博政1) 齊藤健一2) 平木秀輔3) 荒井耕4)

1)金沢大学人間社会研究域経済学経営学系
2)京都大学大学院医学研究科
3)公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院
4)一橋大学大学院経営管理研究科

【要旨】
 本研究の目的は、タスクシフト推進に当たり、各種シフトに影響する要因を明らかにすることである。とくに、初期のタスクシフトに伴う期間に焦点を当て、シフトに関わる教育研修の負荷と、人的資源・リスク管理といった経営に関する負荷の観点から影響する要因を整理する。このため、2022年3月に二次・ 三次救急病院を対象にインタビュー調査を実施した。
 タスクシフトを進めるに当たっては、組織という単位で検討すべき事項と個人という単位で検討すべき事項があることが明らかになった。すなわち、組織という点では、研修体制の確立やシフト業務遂行者への手当てを検討することが必要である。個人という点では、キャリアパスとの観点で業務の一環であるのか個人の資質向上と位置付けるのかを明確にすることで、研修時間の勤務時間としての取り扱いがクリアとなるとともに個人のモチベーションへの反映も期待されていた。