<事例報告>
プレアボイド報告増加に向けた薬剤部の取り組みによる医薬品適正使用の推進

小原直紘1) 土井敏行1) 白神幸太郎2)

独立行政法人国立病院機構京都医療センター
1)薬剤部
2)医療安全管理室

【要旨】
 プレアボイドとは、日本病院薬剤師会が作成した「Prevent and avoid the adverse drug reaction(薬による有害事象を防止・回避する)」という言葉を基にした造語であり、薬剤師が薬物療法に関与することで患者の不利益を回避、軽減、薬物治療効果が向上した事例である。京都医療センターの薬剤部では、医薬品安全使用に貢献するため、積極的にプレアボイド報告に取り組んでいるが、今回、病棟薬剤業務におけるプレアボイド報告増加に向けた取り組みを検討したので報告する。薬剤部内でのプレアボイド報告状況に関する問題点として、薬剤師経験の浅い薬剤師からの報告が少ないことが判明した。そこで、プレアボイド報告のデータ処理、解析方法を変更し、薬剤師教育に用いた結果、2021年度は2020年度の年間報告を大きく上回り、年々増加傾向となった。まず、プレアボイド報告の収集・解析を新人薬剤師が担当することで実例に触れる経験ができ、プレアボイド報告に対する不明点の解消、病棟業務を行う準備、報告の重要性の意識づけにも繋がり効率的な新人教育が可能となった。さらに、優良事例を全薬剤師が共有することで、薬剤部全体の薬学的ケアの充実に繋がった。今後はさらなる医薬品の適正使用に寄与することで、有益な治療、病院の医療安全に貢献したいと考える。