<事例報告>
手術用縫合糸の在庫管理一元化による在庫費用削減

貝沼 純 佐藤健斗 佐藤智也 浅野由香里

公立大学法人福島県立医科大学附属病院 手術部

【要旨】
 福島県立医科大学附属病院手術部に保管している手術用縫合糸の種類・数量は15品目100種類2,500個以上に及び、保管場所は、手術部内にある複数箇所の棚に点在していた。在庫管理は、定数管理カードにより行っているが、補充までに日数を要し手術使用に支障をきたすことがあったため、日常的に手術部看護師が縫合糸を臨時請求し在庫を管理していた。このことは手術部看護師の業務を煩雑にし、患者対応への注力を妨げ、病院資産にも影響していると考えられたため、縫合糸の在庫管理の適正化による手術使用の安定化と看護師の業務適正化、病院資産の支出削減を目的に、手術部で保管している縫合糸の在庫管理を改善した。その結果、手術部で保管する縫合糸の品目数を26%、数量を75%削減し、定数資産を6,593,042円削減できた。また、保管場所を11箇所から1箇所に集約し、患者毎の手術材料ケースカート257種類中140種類に手術使用される縫合糸を追加したことで、手術準備のピッキング作業が軽減された。
 今回の改善により、過剰な在庫や重複する品目の縫合糸の在庫管理を解消し、手術部看護師の業務の適正化と病院資産の支出削減に貢献することができた。手術部に在庫する縫合糸の適正数を算出するうえで、手術室業務支援システムの蓄積データを活用することが簡便で有用だった。