<原 著>
ハイケアユニットの利用が患者の予後や提供されるサービスの質に与える影響(DPCデータによるハイケアユニット利用と一般病棟利用の比較から)
後藤佳子1) 中尾教伸2) 比江島欣愼3)
1)松山赤十字病院 看護部
2)日本医療科学大学 保健医療学部 臨床工学科
3)香川県立保健医療大学 保健医療学部 看護学科
【要旨】
重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)は、算定する入院料により評価票が定められているが、「一般病棟用」と「ハイケアユニット用」で共通する項目での評価により、一般病棟入院患者でも、看護必要度上のハイケアユニット該当基準を満たすことがある。本研究では、このような患者とハイケアユニット入室患者を比較検討することにより、利用病床が患者の予後や患者に提供されるサービスの質に与える影響を検討した。
対象患者は、2018年度に、急性期一般入院基本料1とハイケアユニット入院医療管理料の施設基準を届け出した医療機関に、同年度内に入退院した患者の内、一般病棟入院時に看護必要度の共通する項目でハイケアユニット該当基準を満たした患者と、ハイケアユニット入院医療管理料を算定した患者とした。対象患者のDPCデータから、基礎情報、入退院情報、診療情報、医療費について抽出し、施設情報を付加した後、群間比較を行った。
解析の結果、ハイケアユニットを利用したことで、入院期間の短縮、良好な退院転帰、投薬・注射・処置の費用低減という効果があることが示唆された。しかしながら、重症患者であっても、ハイケアユニットを利用できない現状があることから、安全で安心なサービスを提供するためには、医療機関内の患者・病床稼働状況を把握し、効果的・効率的にベッドコントロールすることが重要となる。