<原 著>
手術室看護師の人員配置と手術医療の安全性の関連

原健太朗1)2)3) 山本千恵1)4) 石橋まゆみ1)5) ミルズしげ子1)6)
後藤紀久1)7) 徳山薫1)8) 井上貴裕1)9)

1) 日本手術看護学会 学会あり方委員会診療報酬ワーキング
2) 国立病院機構長崎医療センター 手術センター
3) 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 看護学
4) 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 看護部
5) 学校法人昭和大学 経営戦略企画室
6) 長野保健医療大学 看護学部
7) 岐阜大学医学部附属病院 看護部
8) 東京大学医学部附属病院 看護部
9) 千葉大学医学部附属病院 病院経営管理学研究センター

【要旨】
 外科的医療技術、周術期患者管理技術が急速に進展したことで、手術件数は増加の一途を辿っている。しかし、本邦において、統一された手術室の看護要員算定基準はない現状にある。本研究では、手術室における看護要員適正人数と、看護要員配置人数が手術の安全に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、総合入院体制加算の要件に沿った全身麻酔800件以上の247施設を対象とした多施設共同横断研究を実施した。研究対象施設における施設規模、手術室スタッフ関連、安全性関連を解析した結果、現在の手術室における安全性の認識と稼働手術室1部屋あたりの手術室看護師数との関係には、有意な相関が見られ、稼働手術室1部屋あたりの看護師数 = 3.82 (安全だと思う:+ 0.22、安全だと思わない:- 0.22) (人) となった (p < 0.01) 。また、年間インシデントレポート件数と稼働手術室1部屋あたりの手術室看護師数との関係には有意な相関が見られ、稼働手術室1部屋あたりの手術室看護師数が多いほど、インシデントレポート件数は減少傾向にあった (p = 0.02) 。また、稼働手術室1部屋あたりの看護師数が4名以上の施設は4名未満の施設に比べ、手術室看護師は安全性を有意に高く感じており、年間インシデントレポート数は有意に少なかった。本研究結果より、手術室1部屋あたり4人以上の看護師数は、医療者側においても安全性を感じ、インシデントレポート件数の減少に繋げることができると示唆された。