<事例報告>
病室−看護拠点の距離と看護師の訪室頻度の関連について−急性期病院で看護拠点を小規模看護単位ごとに設置することがもたらす効果−
石神美由紀1) 細井きみ江1) 遠藤聖美1) 下谷康恵1) 田中小百合1) 山ア清一2)
1) 独立行政法人地域医療機能推進機構大阪病院
2) 株式会社ケアコム
【要旨】
本研究は、病室−看護拠点の距離と看護師の訪室頻度の関連について、急性期病院で看護拠点を小規模看護単位ごとに設置することがもたらす効果を明らかにすることを目的に実施された。500床以上の入院病床を有する一般的な急性期病院を対象に、病室−看護拠点の距離が近く小規模看護単位ごとに看護拠点を有するT病院について2016年3月、病室−看護拠点の距離が遠く複数の小規模看護単位が1つの看護拠点を共有するU病院について2014年10月に看護師の動線調査を実施した。その結果、T病院において、看護師の移動に要する時間、距離、移動速度は減少、受け持つ患者の病室への訪室回数は増加し、滞在時間は長かった。また、T病院で看護師は小規模看護単位(看護チーム)で受け持つ患者を主に訪室していた。このことから、病室−看護拠点の距離を短縮し、小規模化した看護単位ごとに看護拠点を設置した病棟構造は、看護師がベッドサイドで行う直接看護を充実させ、看護チーム内の効率的な情報共有に貢献できると考えられる。