<事例報告>
薬剤師による入院前持参薬確認外来の開設
神田紘介1) 北原隆志2) 松本武浩3) 室 高広1)
1) 長崎大学病院薬剤部
2) 山口大学医学部附属病院薬剤部
3) 長崎大学病院医療情報部
【要旨】
長崎大学病院では、全ての入院患者に対して入院日に病棟薬剤師が面談を行い、持参薬の内容と、術前に中止することが必要な薬剤(以下、術前中止薬)の中止状況について確認するとともに、患者の全ての使用薬剤の情報を電子カルテ上で一元管理し、安全かつ効率的な運用を行っている。
これまで、月曜日に手術する患者は金曜日に入院していたが、2017年4月より在院日数短縮のため、段階的に日曜日に入院してもらうことにした。しかし、これらの患者(以下、日曜入院月曜手術患者)は手術前に薬剤師による面談が行えないため、安全上の問題が懸念された。このため、2017年5月より薬剤師が入院前に持参薬と術前中止薬を確認する「入院前持参薬確認外来」を開始した。
入院前持参薬確認外来によって、病棟薬剤師が不在である日曜日の入院でも医療従事者が患者の定期服用薬の内容を参照できるようになった。また、術前中止薬を服用している患者には、医師への照会後、休薬が必要な場合には患者へ休薬指導を行っており、医師が把握していない術前中止薬の確認ができ、入院前の休薬指導は手術延期や中止の回避に効果的である。今回、入院前持参薬確認外来は、日曜入院月曜手術患者のうち主治医から依頼された患者から開始したが、2018年度から入院支援加算が新設されるなど、入院前持参薬確認の重要性は認知され、実施拡大に対する要望が多いので、今後、対象患者をさらに拡大する予定である。