<事例報告>
胸腹水濾過濃縮再静注法(CART)施行時における屈折計使用の留意点

徳永幸子 木村隆之 澤田正二

西陣病院 臨床工学科

【要旨】
 胸腹水濾過濃縮再静注法(以下CART)は、難治性腹水の治療法として近年様々な施設での実施が報告されており、その施行件数は年々増加傾向にある。西陣病院では1999年からCARTを施行しており、濾過濃縮の前後には、総蛋白(以下TP)とアルブミンの生化学検査、迅速測定として屈折計を用いたTP測定を実施している。生化学検査(Biuret法)と屈折計では測定原理が違うこともあり、測定値には誤差が生じる。当院の施行実績を検定したところ、患者への再静注前の確認方法として屈折計は充分使用できることが確認できた。このことから、屈折計は濃度の薄い採取後の腹水への使用には注意が必要だが、濾過濃縮後の再静注前の迅速検査として有意義な手技であると思われた。