<事例報告>
廃用症候群患者のFIMを用いた在宅退院に関連する要因の検討
今岡信介1) 森照明2)
1)社会医療法人敬和会大分岡病院総合リハビリテーション課
2)大分岡病院
【要旨】
急性期病院においてリハビリテーション(以下:リハ)介入した廃用症候群患者のADLの傾向を把握し、在宅復帰との関連性が強いADL項目を明らかにすることとした。対象は、廃用症候群の診断で主治医よりリハ介入が必要と判断された425名中、入院前のADLが全介助の者、リハ介入期間が1週間未満の者、死亡退院した者、主病名以外の影響により著しい運動機能低下をきたす既往があり、障害高齢者の日常生活自立度がC2レベルの者、1週間以上リハ介入を中断した者を除外した288名とした。
研究デザインは、後方視的な観察研究とし、年齢、性別、廃用をきたした疾患名、入院期間、入院からリハ開始までの期間、リハ実施日数、入退院時FIMの総得点、FIM運動項目、FIM認知項目、総単位数、1日あたりの平均リハ提供単位数、入院前の日常生活自立度、入院前の生活場所、退院先を電子カルテより抽出した。
分析は、在宅群、施設群に分類し2群間の比較において有意差を認めた項目についてロジスティック回帰分析を行った。結果、トイレ移乗、排尿管理、下半身更衣の3項目が抽出された。急性期リハ介入を必要とする高齢患者の在宅復帰に向けては、セルフケア(下半身更衣、排泄)と移乗動作が重要な因子である。特に排泄動作の自立に向けた重点的な指導が肝要であることが示唆された。