<事例報告>
地域包括ケア病棟入院患者の転帰先と関連要因
大鳥 和子1) 福島 和代2)
1) 帝京大学福岡医療技術学部看護学科
2) 九州看護福祉大学看護福祉学部看護学科
【要旨】
本研究は、地域包括ケア病棟における在宅復帰支援対策の一環として、当該病棟入院患者の転帰先とその関連要因を明らかにすることを目的に実施した。九州圏内に所在するA病院ならびにB病院の地域包括ケア病棟に入退院した患者485人を対象に年齢、性別、入院前の居住場所、入院目的、入院日数、入退院時の看護必要度(A項目およびB項目)、転帰先を調査し、転帰先との関連要因を調べた。転帰先が自宅や居住系介護施設の在宅であった患者をT群、T群以外の施設であった患者をU群、入院中に死亡した患者をV群とした。A病院の地域包括ケア病棟入院患者(以下、a病棟患者)はT群からV群の3つに分類され、B病院の地域包括ケア病棟入院患者(以下、b病棟患者)はT群とU群に分類された。a病棟患者では、年齢はV群が最も高かった。入院日数はU群が最も長かった。看護必要度A項目は入院時、退院時ともにV群が最も高かった。看護必要度B項目も入院時、退院時ともにV群が最も高かった。b病棟患者では、入院日数はU群がT群よりも長かった。看護必要度B項目も入院時と退院時ともにU群がT群よりも高かった。転帰先と年齢、入院日数、看護必要度との関連性があったことから、年齢、入院日数、看護必要度は在宅退院に影響を及ぼす因子である可能性が示唆された。