<紹 介>
患者経験価値(PX)調査の現状と課題
曽我香織1) 西本祐子2) 引田紅花3) 斎藤恵一4)
1) 一般社団法人日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会
2) 国立病院機構九州医療センター
3) 前橋赤十字病院
4) 国際医療福祉大学
【要旨】
医療の質を把握する試みの一つとしてわが国では患者満足度 (PS) 調査が広く行われている。しかしながら現状のPS調査では一時点での患者の主観を尋ねる設問が多く、具体的な改善行動に結びつけることが困難である。近年、欧米の病院を中心に「PX(Patient eXperience:ペイシェント・エクスペリエンス、患者経験価値)」が注目されている。PX調査は具体的且つ客観的事実を問う設問が多いため医療サービスの実態を把握しやすく、その結果が医療安全や臨床の質を反映することが報告されている。日本でもPX調査を実施するために、わが国の状況に適合した「日本版PX調査票」が開発されている。