<事例報告>
祐愛会織田病院における実践的な一次救命処置(BLS)研修の効果

多胡雅毅1)2) 河本健太郎1) 織田良正1) 織田正道1) 山下秀一2)

1) 祐愛会織田病院
2) 佐賀大学医学部附属病院総合診療部

【要旨】
 祐愛会織田病院では、2012年より講義形式の一次救命処置(Basic Life Support:以下BLS)研修(以下旧研修)を年に一度行ってきたが、その効果は判定されていなかった。
 新たに施行したBLS研修(以下新研修)では、旧研修と同じ職種を対象として医師以外の全職員に対する3~4人のグループ実習形式へ変更した。新研修では心肺蘇生シミュレータと自動体外式除細動器を用いた実技、院内急変における各職員の意識改革に重点を置いた講義、グループでの院内急変シミュレーションを実施した。新研修前後で13項目・11段階のBLS手技に関する知識、意欲、自信についてのアンケートを行った。また、新研修前後で1度ずつ院内急変訓練を実施し、その様子をビデオ撮影して新研修前後の変化について評価した。
 対象者239名中220名(92%)が新研修に参加した。新研修前後のアンケートでは、職員のBLS手技に関する知識、意欲、自信に関するスコアが有意に改善した。新研修後の院内急変訓練では、研修前には実施されなかった呼吸の確認が行われ、胸骨圧迫までの時間が2分28秒から25秒と短縮した。
 以上の結果より、少人数制でより実践的なBLS研修は、病院職員の院内急変時の対応を改善することが示された。