<原 著>
退院支援におけるチームワーク尺度の考案
深野美紅1) 難波志穂子2)
1)岡山大学病院看護部
2)岡山大学新医療研究開発センター
【要旨】
近年、入院期間の短縮化などにより退院支援を早期から始めることが求められている。多様なニーズを持つ患者に専門性の高い医療や一貫性のあるケアを提供し退院支援に結びつけるためにはチームワークが不可欠である。そこで、退院支援におけるチームワークを構成する要因を明らかにすることを目的とした。
岡山大学病院病棟看護師362人を対象とし244人(67.0%)の有効回答数が得られた。調査用紙は、新たに作成した退院支援におけるチームワーク尺度(32項目7段階評価)と属性調査用紙を1セットとし、配布後留め置き法にて回収した。
分析は、主因子法によるプロマックス回転を用いて探索的因子分析を行った。また、内的整合性はクロンバックα係数を算出した。退院支援におけるチームワーク尺度は、スクリームプロットを参考に3因子が抽出された。第1因子【個人の潜在的能力】、第2因子【チーム・コンピテンシー】、第3因子【リーダーの存在】と命名した。3因子の信頼性を、クロンバックα係数で検討したところ、第1因子0.942、第2因子0.897、第3因子0.717であった。属性ごとに退院時支援におけるチームワーク尺度の総合得点を検討した結果、職位、年齢、配偶関係、現部署への愛着の有無、現部署への信頼の有無で違いが認められた。退院支援におけるチームワーク尺度は3因子で構成され、信頼性を確保していた。仕事への愛着や同僚との信頼関係はチームワークに影響を及ぼすことが示唆された。