<事例報告>
骨修飾薬による顎骨壊死に関する医療連携ネットワーク構築について

大野友久1)5) 永江浩史2) 大野守弘3) 才川隆弘3)4) 龍口幹雄3)

1)聖隷三方原病院 歯科
2)ながえ前立腺ケアクリニック
3)浜松市歯科医師会
4)静岡県歯科医師会
5)国立長寿医療研究センター 先端診療部歯科口腔外科

【要旨】
 ビスホスホネート製剤およびデノスマブなどの骨修飾薬(Bone-Modifying Agent:BMA)は病的骨折や骨転移、高カルシウム血症などの骨関連事象を抑制し、患者の予後、生活の質改善をもたらす有用な薬剤である。しかし、BMA投与の有害事象として顎骨壊死(Osteonecrosis of the Jaw:ONJ)の発症が大きな問題である。ONJのリスクファクターである抜歯や歯性感染症などの口腔の問題を事前に解決しておくために、またONJが発症してしまった場合にも、歯科受診が必要でBMA処方医と歯科医師の連携が重要である。そこで患者および処方医が安心してBMAが使用できるよう地域医療連携を促進するために、1.BMAによるONJに関する多職種における相互理解、2.BMA診療連携システムの構築、を目的として静岡県西部地区の医師、歯科医師、薬剤師などの有志にて「BMA連携診療に関する連絡会」を立ち上げた。本会では2014年6月までに13回の会合を重ね、医療連携が進むように講演会を開催し、またBMA診療連携システムを作成した。その結果、現在までに12名の連携システム利用症例があり、いずれも良好な結果に繋がっている。今後もさらに各方面に連携システムを紹介し医療連携を進め、静岡県西部地区在住の患者が安全にBMAを使用できるよう支援していきたい。