<紹 介>
MRSA敗血症・肺炎の治療マネジメントに関する検討
−抗MRSA補助薬の有効性に関する文献的考察−


入口慎史1) 今井 徹2) 折井孝男1)

1) NTT東日本関東病院薬剤部
2) 日本大学医学部附属板橋病院薬剤部

【要旨】
 我が国ではMethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 感染症が院内感染で大きな問題となっている。MRSA感染症においては難治症例が多数存在し、抗MRSA薬に加え、リファンピシン (RFP) やトリメトプリム・スルファメトキサゾール (ST合剤) が併用される。そこで、PubMed および医学中央雑誌 (医中誌) にて文献調査を行い、敗血症・肺炎に対するRFP、ST合剤の有効性について検討した。敗血症に対するRFPの有効性についてはランダム化比較試験 (RCT) が1件、症例対象研究が1件あった。いずれの試験においても、有効率に統計学的な有意差が認められなかったが、多くの症例報告では著効が報告されていた。また、肺炎に対するRFPの有効性についてはRCTが1件あり、臨床的著効率はRFP併用群とVCM単独群では併用群の方が有意に優れていた。一方、敗血症、肺炎に対するST合剤の有効性を示す報告は少なく、エビデンスは限られていた。以上の結果より、敗血症、肺炎へのRFPの併用について、難治症例の治療の選択肢の1つとなることが示唆された。