<事例報告>
術前の手指消毒におけるウォーターレス法の
消毒効果及びコストの評価


土家大輔1) 尾家重治1) 古川裕之1)
宮崎綾子2) 宇多川文子2) 藤井正美2) 濱野公一2)
1) 山口大学医学部附属病院薬剤部
2) 山口大学医学部附属病院手術部

【要旨】
 術前の手指消毒法において、従来から実施されているスクラブ法(洗浄剤含有の消毒剤を適用する手技)や2ステージ法(スクラブ法を行った後に擦式アルコール製剤を適用する手技)に代わり、ウォーターレス法(擦式アルコール製剤を適用する手技)が普及し始めている。 今回、クロルヘキシジンを0.5w/v%含有する擦式アルコール製剤(ステリクロンRハンドローション0.5%)を用いたウォーターレス法の有用性を評価するため、ウォーターレス法、スクラブ法及び2ステージ法の手指消毒効果とコストを比較した。 その結果、ウォーターレス法の減菌率は94.8%に達し、スクラブ法及び2ステージ法に比べて、ウォーターレス法の手指消毒効果が有意に高いことが示された(p<0.05)。 さらに、ウォーターレス法は消毒効果に持続性も示した。 また、ウォーターレス法は、スクラブ法や2ステージ法と比較して、手指消毒1回あたりのコストが150円以上削減可能であった。 以上の結果より、クロルヘキシジンを0.5w/v%含有する擦式アルコール製剤を用いるウォーターレス法は、スクラブ法や2ステージ法と比較して優れた手指消毒効果とコスト削減効果を有することが示された。