<事例報告>
経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師候補者受け入れ施設の現況と課題
古川恵美1) 瀬戸加奈子2) 松本邦愛2) 長谷川友紀2)
1)東邦大学医学部
2)東邦大学医学部社会医学講座
【要旨】
経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)に基づき、インドネシアとフィリピンから外国人看護師候補者が来日し、全国の医療機関等に配属され教育・研修が行われている。本研究では、外国人看護師受け入れ施設を対象にアンケート調査を実施し、受け入れ動機、国家試験のサポート体制、受け入れ施設の現状および今後の課題を検討することを目的とする。
調査票は100施設より回収され有効回答率は65.8%(100/152)であった。外国人看護師の受け入れ目的としては、国際交流への協力、国の政策への協力が多く挙げられ、看護師不足への対策は少数であった。受け入れ施設のデメリットとして、指導の負担、サポートがないことを訴えるものが多かったが、メリットとしては施設の活性化が多く挙げられた。国家試験合格への障害としては日本語能力が多く挙げられた。日常会話能力は概ね問題がないのに対して、看護業務遂行に必要な日本語修得には大きな障害があることが示唆された。
今後は、公的機関等の外部機関と受け入れ施設の役割分担を明確にした教育手法・教材の開発、優れた実績を上げている受け入れ施設の事例研究に基づく知見の共有が重要であると考えられる。