<事例報告>
国立病院機構における
「肺がん肺葉切除クリティカルパス」の比較検討
−標準化に向けたベストプラクティスモデルの立案−


羽隅透1) 齋藤泰紀1) 齋藤俊博2) 菊地秀2)
独立行政法人国立病院機構仙台医療センター
1)呼吸器外科 2)外科

【要旨】
 肺がん肺葉切除クリティカルパス(以下肺がんパス)の行程内容に関する国立病院機構(以下NHO)施設間の差異、ばらつきを検討し、現状における肺がんパスのベストプラクティスモデルの立案を試みた。
 全国NHO施設にて運用されている肺がんパスを対象とし、記載内容を比較検討した。検討項目は全体設定として適応基準、達成目標、退院基準、入院日数とし、周術期処置法として術前呼吸訓練、術前処置、肺塞栓症予防対策、抗菌薬使用法、硬膜外チューブ管理、心電図管理、酸素投与、尿道カテーテル管理、胸腔ドレーン管理、離床、輸液、食事、創部処置法、術後吸入、術後リハビリテーション、検査スケジュール等とした。
 36施設での肺がんパスが検討可能であった。全体設定において適応基準、退院基準を明記していない施設が多数を占めた。周術期処置において一定の傾向を示す項目もあったが、施設間での差異、ばらつきは存在した。ガイドラインの勧告と乖離した投薬・処置法も行われていた。アンケート結果や最新のガイドライン、Diagnosis Procedure Combination(DPC)設定等に基づき、推奨されうるクリティカルパスを立案した。
 今回立案したベストプラクティスモデルが真のベストモデルになり得るか否かは、施設間でのバリアンスの発生頻度、患者満足度などにより検証する必要がある。