<紹介>
クリティカルパス分析ツールとしての
退院時アウトカム評価登録システムの導入


平井有美 藤本俊一郎 合田雄二
労働者健康福祉機構 香川労災病院 クリティカルパス推進委員会

【要旨】
 クリティカルパスは医療の標準化、質の向上、経営基盤の確立に有用であるが、その適正な内容の確保のためにはバリアンス分析が必須である。当院では電子クリティカルパスでオールバリアンス方式でのバリアンス分析を試みたが、バリアンス登録が大変な業務であったために、十分な登録が得られなかった。そこで、センチネル方式の一つである退院時バリアンス収集法を採用し、臨床指標を中心とした退院時アウトカム評価登録システムを構築した。アウトカムを「共通アウトカム」と「クリティカルパス固有アウトカム」の二つに分類し、前者は全てのクリティカルパスで共通する「臨床アウトカム・QOLアウトカム・時間アウトカム・経済アウトカム」の4項目で構成し、後者は個々のクリティカルパスの特徴を反映した「クリティカルパス固有アウトカム」の項目で構成した。その結果、退院時にアウトカム評価登録が行われるようになり、クリティカルパス分析のためのデータ収集が可能となった。このシステムはまだ稼動を開始したところであるが、今後集積された各種評価指標を用いて医療の質の構成要素(構造・過程・成果)の分析を行い、クリティカルパスの改定を進めていきたい。